2017年10月1日

Are You Ready!?

本番から1か月たってしまいましたが、遅ればせながらレヴューなど。
今回は聴衆ではなく、1曲だけ指揮者として5年ぶりに復帰することになったのです。ただ、かなり練習出席数も限られるので、ここは企画専門のピンチヒッターとしての登場です。つまり老舗団体にいがちな変なオヤジ指揮者として聴衆をクスッとさせて「なんかおもしろかったな、アレ」と心に爪痕を残せれば本望、と開きなおっての参加です。


で、曲目についてですが、プログラム全曲聞いたのが久喜でのゲネプロなのですが、若手指揮者たちの堂に入った指揮ぶりにも、小川君のプレリュードとカルメンのバトン技巧とアナリーゼにもびっくり。4曲、魅き込まれます。釘付けです。今までもほぼそうなんだが、これは全曲穴なしの完璧プログラムです。

それで僕の振るこの学園ヒット★パラダイスも、選曲・アレンジ・構成ともに大傑作ですから、俄然、コンサート自体すごくうまくいく・・・と確信しました。僕の脳裏にはすでに聴衆の笑顔と喝さいが見えるようです。

というわけで9/2の朝が来ました。
涼しい。ってか雨がしとしと降って寒い。まちがいなく夏が終わろうとしている・・・でも、まだ夏を終わらせない!というのが今日のひそかな自分だけのテーマです。心の太陽フレアを大爆発させてきょうはたっぷり汗をかきましょう

9:30にGUITARの楽屋に入り、今日の仕込みについていろいろと悪友たちと相談。大村君がなぜか長髪のかつらを・・・。これはもちろん企画とアンコールに関係があります。午前練習は小川君のカルメンの最後の詰めが真剣に続きます。自分が振った時よりも、すごく輪郭のはっきりした音楽になりました。
前回は勢いで乗り切ったところをしっかり丹念に整理していきます。これだな自分に足りないものは・・・と思わせてくれる練習風景。

昼食を挟んで午後練習。若手二人も、しっかり自分を持った端正な音楽で、本番に対する不安はありません。みんな優秀です。こうなれば自分の立位置もはっきりするというもの。色物として思い切りふざけてお客さんを温めましょう。

リハではやはり冒頭のコントを中心にやります。今回はTOP陣、いや全員に参加してもらうので、時間をかけ、何度もNGが出てはやり直します。
(おいおい、こんなに作りこんで、もしシーンとしてたらどうすんだよ)と心の突込みが入りますが、もうやるしかない。

筋としては、学園ドラマの第一回に必ずある「手ごわい生徒と熱血先生の対決」的な導入。
熱血先生が生徒たちの煙草・化粧・酒・マンガ・スマホ・早弁・居眠りとお約束のネタにいちいち反応し、ビンタしたり、過剰なスキンシップをするというコント。セリフは一切なく、僕のホイッスルのみ、落ちはカウベル一発。
司会のyasukoさんともアナ原についてぎりぎりまでうちあわせます。

ビンタは入れる予定がなかったのですが、数日前に日野皓正の事件があり便乗。アンコールの練習もし、ここで新たなるネタが仕込まれたあと、早めの夕食であとは本番を待つばかり。


さてリハ風景長すぎましたがここからは開演後。

2階席を閉めているので、客席はほぼ満員(に見える)。ほっとします。

まず、ニッキ君の軽騎兵。
袖で聞いているので音響は分からないが、音がとても伸びている。やっぱり一曲目はこういう豪快なfで始まる方がよい。
ギターの刻みがやっぱり厳しいか。時間があれば某関西系団体のようにここは単音にDIVした方がよかったかも。でも全体にかっちりして明瞭で気分良し。モチーフごとに音色とキャラをもっと変えてもよかったろう。でも最後のフィナーレ感は最高。アッチェルもラストのタメも決まった。

つぎは修司君(寺山だから)の星の庭。
これは1曲目と全く違い繊細なトレモロで聞かせる曲。細かい瞬きのような表現はもちろんだけれども大きなうねりも感じられ引き込まれる。
そして例の主題だけど・・・スマート。僕の年代だとここは思い切り粘るんだけれど。すいすい行きます。これが若いってことなのか。脂のないシンプルな味だがもちろんこれはこれですごくいいです。昔やった時は中間部が長くて退屈だな、なんて失礼なことを思ったのですが、この演奏は中間部の不協和音も目的意識があってぎゅっと詰まって短く感じる。

2人とも若手とは思えない技巧と頼もしさ、末恐ろしさすら感じます。

さて、僕の番です。yasukoさんが「バッカス学園、朝のホームルームです」って感じで紹介。始業ベルとともに学級崩壊したオケの前に上下ジャージで出ていきます。

?・・・僕が振ってた頃とお客さんが半分くらい入れ替わってる。現役時代毎回感じていた「あ、出てきた、なんかやるな」という空気がない。そうか、5年もたてば客席の構成も変わる。あるいは久しぶりなので客席が戸惑っている。これは半分アウェイです。「厳しいな、でも最後には沸かせるぞ」と一瞬にして決意しました。

そして前述のコント。ざわざわって感じですが、ネタごとに次第にウケてきました。ビンタのスネアとか最後のカウベル一発ではなかなかの反応でした。やっぱりシャボン玉ホリデー、サタデーナイトショーの昔からカウベルって笑いが取れるのです。何を聞かれてもティンパのペダリングで答えていたダン池田を思い出します(古いね)
爆笑とまでいかずともこれで十分笑いはとれました。

さて、演奏。ごくせんも太陽もリハより落ち着いて丁寧にできました。いい空気。フライングゲットあたりから無性に盛り上がってきました。直前で僕好みのサンバアレンジになったので、椎間板が溶けたかのように腰が動きます。そう、まずオケを笑わせないと客席を笑わすことはできません。
空も飛べるはずは一転爽やかに奏者とシンクロでき、客席の気持ちが寄り添っているのを背中に感じます。キセキ、アミーゴ、そしてHEROは全員火の玉のように駆け抜け、GUTSは軽く明るく。そして贈る言葉。イントロに入る一瞬がかなり感動的でした。ラストの学園天国は、掛け声もとどろき(オス声多いな!)全員シモンボリバルユースオーケストラのように楽器を立てて乗りまくりました。聴衆の心はしっかりオケと同期しました。
最高だ・・・。かなり自分の趣味が炸裂していますが、コントも含め、みんなの心に爪痕は残せたでしょう。結果オーライ。


1部終了。休む間もなく小川君指揮の2部開演。これまたすべて袖で鑑賞。

プレ2、超定番曲だけに何度この曲を聴いたか演奏したかわからないほどですが、この日のプレ2には冒頭のfからしてやられました!
もちろん単に奇をてらっているのではなく、さんざん聴きこんだ人も掘り当てられなかった新鉱脈のような目からうろこの解釈なのです。この演奏は新たなスタンダードになるでしょう。

そしてカルメン。

一応前回のわが拙い編曲「M'selection」をべースにしてはいるものの、大部分を小川くんがきれいにしてくれています。

1曲目。僕の時は速すぎて結構危なっかしかったが、今日のは快速でありながら、腰の据わった安心して聴けるテンポ。華やかな管の響きと、締まったパーカスが豪華。そして闘牛士の歌の部分では、弦のユニゾンでのあのメロディがたっぷり歌っていて大満足。

以下、全部書いていると終わらないので特に心に残った楽章だけ・・・

アルカラ。十数年以上前なので編曲の工夫などは忘れて他人ごとのように聴いていたのだが、アルカラはハッとしました。途中のギターの長い長い下降音型、当時われながらしてやったりと思いながら自分で弾いてにやにやしていました。

Intermezzo。冒頭のE♭、前回ギターの下パートのDチューで何とかしたのだが、今回はDチューやめたので、セロのE♭と音質の差が出てしまった・・・。もとの曲はハープとフルートでもっと自由にやるところなのだが、そういうこともあってメロディー以外の構造体が少しぎこちなくなってしまったか。でも吉谷さんのソロは極上でした。

ハバネラ。これはあまりエロくない・・・。なぜ当時カルメンのような若い女が葉巻工場に勤めたかっていうと葉巻ってものはセニョリータたちの褐色の太ももの上で巻かれるらしくて、紳士たちはそういうことも含めて先ず吸う前に香りを楽しむんだとか。(と開高健の本に書いてあった)
ラテンの連中のエロは実に深い。日本人も頑張りましょう。

闘牛士の歌。これは前回よりも全然弾けていて、華々しい一体感もあり、客観的にも一番出来がよかったのではないでしょうか。小川君がいろいろ手を加えてくれていますが、それもあってかかつて自分が面白がりながら編曲した部分が期待以上に豪快に聞こえて、バッカスの底力を感じます。
みんなこの手の速弾き、わりに大好きなんですよね。

ジプシーの踊り。これは僕が振った前回は2コーラス目くらいからテンポアップしてしまったんですが、今回は小川君によりテンポを抑えに抑えて、最後に炸裂するという大人のジプシーになりました。ためにためた分フィナーレの風圧は猛烈で、爽快感この上なし。ブラボーも出ましたね。

前回よりセンスが2枚も3枚も上のカルメンでした。


僕も袖から盛大に拍手を送りました。なにがあろうと本番にベストの力を出し奇跡の演奏をしてしまう皆さんに。そしてオケと一つになって盛り上がってくれた聴衆の皆さんに。

小川君の感謝の言葉の後、アンコールは海の声。パーカッション隊の波の音から始まります。これ以上夏らしい曲はないし、個人的にも好きな曲です。演奏も感極まって極上のアンコール。

アンコール2は学園ヒットのGUTSから。ここからGUTSの小川君、贈る言葉の大村君、学園天国の僕と、それぞれのアレンジャーが振るという趣向。
学園ヒットは3人の合作とは思えないほど一体感のある構成でしたが、いみじくも、3人の個性が一番よく出た曲でフィニッシュ。

小川君、GUTSが盛り上がってくると、バットを振っていました。某先生が見たらなんていうだろう。

贈る言葉の大村君、本番前楽屋で用意していた長髪かつらとグレーのジャケットで、髪をかき上げながら指揮。くやしいが客席がこの時一番ウケたかもしれない。

学園天国、僕はパーカッションブースからyasukoさんの「are you ready?」の掛け声とともに舞台に飛び出したのだが、このときの目の前に広がった光景を一生忘れることはできないでしょう。

客席の全員がひとりのこらず笑顔で手拍子をしていた!

・・・・・・・・・・

打ち上げの席では、案の定、松村雄基だの山下達郎だの闘牛士だの星だの軽騎兵?だの、珍妙な連中が跋扈していた。僕はかなり気分良く酔って、指名されて立って長々としゃべった気がする。そして日帰り参加であるにもかかわらず終電を逃してしまい、みんな泊まっていけばと言ってくれたが、なぜかそうしたくなくひとり帰ることにし、2:30頃、春日駅前の24時間マックで机に突っ伏した。

数時間後には、子供とこの夏最後の営業日であるプール。
泳いでいると上空からアブラゼミが目の前の水に落ちてきて、もう動かない・・・今、夏が終わった・・・27回目の。

でもこれは終わりじゃない。次回は28回目。そして29・30回に向かって今また夏が始まろうとしている!

そう、Are You Ready!?・・・30回!!



こちらの記事は、企画ステージ指揮者の桝川大輔氏より寄稿頂きました。
育メンしながらの参加、ありがとうございました!

2016年8月31日

バッカスよ、どこまで行くの!

今年も一聴衆としてレヴューします。
結論から言うと去年以上にいいものを聞かせてもらいました。ただ今回ちょっとしたアクシデントで開演におくれてしまい、客席に入れたのは死の舞踏からでした・・・シンフォニア・桜色が聴けず残念。

途中入場で最後列から聞いたせいか、つばかぶりの迫力はありませんがバランスはとてもよく、最後まで聞こえにくい音域があるとかずれて聞こえるとかは一切なく、終始空間で良くミックスされた粒のそろった美音でした。

死の舞踏、市川さんの肩の力が抜けた正確な指揮、コントロールされたアンサンブル、吉田君の狂気の宿ったマンドリンの音(もう少し骸骨っぽい動きをするかと思ったが普通だった)。最後まで集中力途切れることなく聞けました。やるなあ。去年以上の安定ぶり。サン・サーンスらしいスマートで洒落た演奏です。管も打楽器も弦も心は一つといった感じで、全くよどみがありません。すごいじゃないか・・・と思っているうちに休憩。

ロビーには10数年ぶりの懐かしい仲間の顔も。今年は久しぶりの旧メンバーが多かった気がします。会社の人からハガキの御礼を言われたのでハガキ作戦効いているんでしょうね。

そして2部、小川君の登場です。事前にいろいろ聞いていた朝ドラメドレー。これは・・・いい!ここ数年で一番のヒットじゃないだろうか?
僕の周りでは一曲始まるごとにマドモアゼルたちがどよめいていました。朝ドラって主婦の楽しみなんですよね。うちの母なぞはこれだけが人生の楽しみと言っていました。

選曲や曲順もそうだけど、一曲の長さがちょうどいい。メロディにシンクロして当時の思い出に浸ったころに、次の曲が出てくる。アレンジはどれもメロディが引き立つシンプルで間や残響がうまくいかされている明朗なアレンジ。そして演奏もこれまた肩に力を入れず、ひたすら自然に歌っているんだな。おそらく会場の一人残らずが、心地よく温かい気分になったことでしょう。
さすがに声を出してうたう人はいませんが、お客さんの多くが心の中で歌っているのが分かります。これこそが僕らが目指していた「企画」でしょう!

小川君・大村君といった、経験豊富で達筆なアレンジャーがいるというのは、かなりのアドバンテージだと思います。傑出した団体というのは、だいたいそういう人達を擁しています。バッカスにはそういう宝物・優位性があるということでしょう。

もう一つの宝は管・打楽器隊。ボブさんが叩いているのを見るといろいろな楽しい思い出がよぎりいつも顔がほころんでしまいますが、ドラムセットが無いのにドラムセットの音が聞こえてしまうこのボブマジック。彼率いるリズム隊・そしてとにかく美音で歌いまくる管部隊はバッカスの得難い援軍です。

そして交響的前奏曲。この日一番衝撃的な演奏かも。交響的って実はすごく熱くて激しい曲ではと思っていたのですが、この演奏は想像以上の奇演でした。

冒頭で、もうこの高密度に圧縮された熱量に驚かされます。一転第二主題の震えるような氷点下のトレモロも鳥肌が立つよう。
大胆に思いのままにタクトをふるうファンタジスタ小川君に演奏者たちもくらいついていくこの駆け引き。この曲を知り尽くした人ほど、予想を次々と裏切られて呆然としてしまう、ここ数年最高クラスの名演じゃないでしょうか?

さて今年もいいテンポで橋渡しをしてくれるYASUKOさんがなぜか白い頭巾の様なものをかぶって出てきた。。。受けている。
こういう小ネタで客席の雰囲気を変えるのは変わらぬバッカス流。
クリミア戦争の簡単な解説もいい感じです。

そしてスラブですが。これがまたかっちりと締まってまとまっている。勇ましいメロディは豪快に、民謡のメロディは豊かに。フィナーレも十数年前は多少弾けなかろうがずれようがノリで押し通してたわけですが、おそろしいほどの集中力で、きっちり弾ききっている。最後は心が震えました。なんというか、一曲一曲誠意をもって大事に弾いているんだな。と。

ブラボーが3人くらい出ましたね。僕も両隣が知らないマドモアゼルで無ければ立ち上がっていたところです。この意気地なし!!

イキのいい若手の団員、中堅団員を古参がしっかりと締めて(古参トップが指揮者不在時曲をたたいているそうな)、ちょっとふわふわした指揮者たち(失礼!ガチガチじゃないって意味ね)を盛り上げる・・・という縮図が今はとても団としていいバランスに思えます。

アンコールの晴れルヤもさわやかな印象でした。

今のバッカスのとてもいいところ。肩に力を入れて無茶弾きしなくても、大きな美しい音は出るし、そのほうが自然に歌える。topたちが経験的に分かっていて、それを指揮者が理性的にコントロールして、とても好感のもてるクレバーでセンスのいい演奏になっているということ。

そしてそれが大人の柔らかいユーモアに包まれて聴衆と上質な時間を共有しているということ。

ん~。たしかにいい位置につけています。そして今年それが確固たるものになりました。

吉水先生とお話しもできてよかった。いろいろ珍しい人にもお会いできました。
ところで、挟まっている宣伝チラシに「交驚詩・はげ山はホラーパニック」が!割と大学や社会人団体で演奏していただいているんですが、実演を聞いたことはまだなし。関東は初めてじゃないかな?・・・あのボトルネック奏法やフルート頭部管ひっこぬきや「フォウ!」とかはどうやっているんでしょうか。

いや蛇足でした。
しかしつくづく勉強になりました。ちょっと発破かかりまして、今自分に出来ることを全うしようと思いました。


(こちらの記事は、今年も引き続き、育メン修行中の当楽団古参の指揮者、桝川大輔氏より寄稿頂きました。ありがとうございます!)

2015年9月12日

祝バッカス25!レヴュー

燃え尽きて灰になった元指揮者・・・というより、
もはや可憐な一聴衆の立場からこの25回記念コンサートをレビューしてみたいと思います。

去年は家の事情で本番に行けず、2年ぶりのバッカスの演奏会。
就学前児童である息子を連れて行きますが、騒がないようにこの日のために買った仮面ライダー図鑑で何とか黙っていてもらいます。

さて、会場。元コンマスC君と偶然遭遇、会場に入ります。おお!ほぼ満席。さすがの集客力。後ろは埋まっているのでC君と前から3番目という席に陣取りました。
自意識過剰かもしれませんがC君と僕が舞台にかぶりつきで見る・・・嫌がらせにしか見えません。少なくとも僕だったら嫌です。

奏者入場。うむ!4分の一くらいは初めて見る顔。世代は確実に変わっていますね。もちろん古参団員のおなじみの顔も見え少しホッとします。

コンマス紹介、Y氏。まさかY氏のコンマス姿が拝めるとは・・・落ち着き払ったその立ち居振る舞いに思わず笑いが込み上げます。
指揮者は若くて華のある市川さんが入場。なんだか違う団体みたいだ・・・。

そしてミケーリが始まります。
ん!席が前すぎたか?低音が頭の上を通り越し、細かいフレーズで舞台手前と奥の時間差が。結果的には破たんなく、昔ならあきらめたような細かいところ(特にギター)まで丁寧にかっちり弾けていて感心したのだけれど、1曲目から細かい音で始まる曲はちょっと大変かも。でもみずみずしくていい音楽でした。

次のジブリ。これは息子も楽しみにしています。
ここでYASUKOさんがシータの衣装を着て出てきたのですが、僕にはセーラー服に見えた・・・ジブリ映画でセーラー服?しかも赤いリボンをしている・・・もしかしてスケ番刑事2の矢沢雪乃?(ものすごいマニアックだ)ようするに・・・老眼です。

大村編曲、正統派です。各パートのソロとTuttiをうまく組み合わせてメリハリ・濃淡をつけていて飽きさせません。管の使い方がとてもうまく、要所で端正な木管のアンサンブルを聞かせて引き締めます。細かいところまでよく作ってある・・・聴いていて天才じゃないかと思ったカントリーの編曲も大村君だそうで、もはや自分など及びもつきません。

Y氏のソロ、以外にもピッキングの音色がふくよかで美しいです。しばらく見ないうちに成長してる。年齢は関係ないんだね。
2NDのT嬢のソロも堂々と響き渡ってます。

市川さんも曲によって気分を切り変えてきびきびと指揮しています


こういうメドレーは一瞬でも「あー長い」って思われたら最後なのですが(自分の時はモロ長かったです)大村君は有名曲を畳み掛けるように緩急をつけて繰り出すのでまったく飽きませんでした。

2部は小川君の指揮。
なつかしのExtranceです。
やはりこの曲も小川君らしくかっちりと小気味よく進行していきます。欲を言うと前半はもう少しエロく、いや官能的にネッチョリしたかったか。でも後半のデジタルなキレの良さはさすがです。やっぱりいい曲です。若い学生さんたちも、プレリュードシリーズもいいけどちょっとひねって吉水先生のこんな面も味わってもらいたい。
2部から後ろの方に席を取りましたので、バッカスの強みである低音もバランスよく聞こえました。

そして和宮。この曲、ちゃんと聞いたことが無いのですが。始まってしまえば静一ワールド全開。
あの理性の小川君が発狂したかのように荒れ狂い、オケも一番燃えていました。ふっと静かになって、スネアが刻み出し例の「宮さん宮さん」のフルートソロが始まると、仮面ライダー図鑑に見入っていた息子が不意に顔を上げ舞台を注視します。何も知らない子供の心をとらえるくらいこのフルートのメロディは魅力的だったのでしょう。
このあたりから音楽にぐっと惹き込まれます。あとは一気呵成に畳み掛けて爽快に終わりました。

正直ちょっと食い足りない・・・けど、そのあと、バッカナール。

今日の演奏は結構抑え気味です。テンポも音量もぐっと押さえて軽く洒落た感じです。・・・でも最後に豪速アッチェルでしっかりやってくれました。これを狙っていたんですね。

もう少しなにか聞きたい・・・。

そして小川君のカーテンコールの後、アンコール。
実はこの曲が今回のコンサートのすべてを持って行っちゃったんですよね。

珍しい岡崎会長のあいさつの後、カントリーロード。

短い序奏の後、例のメロディ。ドラソロ、いつもながらいい音・・・と思ったらA嬢の手が動いていない。えっ!と見回すと最後列に奇妙に上下する頭が・・・。会長です!この瞬間僕は全身に鳥肌が立ちました。
それは朗々と迷いの無い音でした。どこまでも空に伸びていくような・・・。

これはレアもレア。
創立以来黒子に徹し、決して表舞台に立とうとしない岡崎さんが25年目にして初めてソロを弾いているのです。

会長の実力は誰もが認めるところで、確か10年目に「ナポリ民謡によるマンドラ協奏曲」で、10周年だからソロを弾いてと一晩口説いたけど、自分は音楽面では表に出ないから、とついにそれが実現しなかったという極秘エピソードが頭をよぎります(別に根に持っているわけではありません)

この会場で、このレアさを分かっている人間は何人いたでしょう?

むろん指揮者をはじめ舞台の人間はそれを分かっていてそのあとのTUTTIもすごいものでした。岡崎さんを中心にみんなで寄り添ってオケが一つになって鼓動してました。なんか感謝というか喜びというか、音楽のもつもっとも優しい色があふれ出し、すごく幸せな、すごく貴重な瞬間に立ち会っている気がしたのです!

終わった後も、これはいいものを聞いた。見た。と思って興奮していました。

一番大変な、人のやりたがらない仕事を黙々25年ですから、たまには目立ってもいいと思います。次にソロを弾くのはまた25年後かもしれませんが。

もう宣言しましょう!
ここまで来たんだからあとまた25年続けてください。
そして50周年はサントリーホールか武道館か東京ドームで引退コンサートをやりましょう。(それぐらいたてば何人か金持ちがいるでしょ!)そしてその時20代の団員がいて、「ちょっと!まだまだ辞められたら困りますよ!」なんて言われたら幸せかもしれません。