2011年5月19日

1部集中練のこと(附:音楽書感想文)

5/14の練習は、急病で合宿にこれなかった小川君特集。
その日僕はたまたま休日出勤で、どう練習時間を工面しようか悩んでいたので、おもいきってすべてお任せすることにした・・・合宿でできなかった1部に集中して有意義な練習ができたようだ。
ロートルもたまには引っ込んだほうがよいのである。

ロートルといえば、40歳過ぎて判ったことは僕の頭は本当にスカスカであると言うこと。1週間に10冊ちかく本を読むのに、ほとんど頭に入らない。しかし、だからこそ同じ本を何度も楽しめる。
ごく最近読んだ音楽関係の本で面白いものをいくつか。

松田聖子と中森明菜  中川右介著
80年代の歌謡曲好きには、めっぽう面白い本。山口百恵の全盛期から松田聖子・中森明菜のデビュー、ジャニタレとチェッカーズ・小泉今日子の台頭までの芸能音楽史の表と裏のエピソードが満載。数字と時間軸が詳細で資料としても一級。 あまりに面白くてすぐ読み終えるのが惜しく、一日に読むページを決めて何度も読み返していた。
冒頭、著者は問う。松田聖子がもしいなかったら日本はどうなっていたか。僕は特に松田聖子のファンではないが時代の目撃者として断言する。 松田聖子がいなかったら現代史は変わっていたと。具体的にどう変わっていたかは一口で言い表せないが、松田聖子がある時期80年代の日本(文化・経済)そのものを象徴していたのは明らかだ。
松田聖子のデビュー前の芸名が「新田明子」だったのには腰が砕けた。新田明子のままだったら・・・売れなかったろうなあ。

ロック・ギタリスト伝説  萩原健太著
恥ずかしいが、僕はここに出ているギタリストの半分も知らなかった。しかし、歴史的ギタリストたちの独特な演奏スタイルやエピソードを、かつてのギター少年である著者がわかりやすい視線で語るので、ギターを弾かない人でも十分楽しめる。一方でかなりマニアックなテクニックを解明していたりして、ギター弾きも読んでよかったの大満足良書。
個人的にすごいと思ったのは超我流ギタリスト、アルバート・コリンズ。この人は最初に親戚からギターの手ほどきを受けたとき、ウソを教えられたのか単に適当だったのか「オープンFm」という妙なチューニングでギターを独習し、プロになっても押し通した。ぶっとい指で弦をちぎらんばかりにバキバキ弾き倒すが、めちゃくちゃウマい。 われわれの世界は「あれはだめ・これはだめ」と言う世界であるが、ロックギタリストたちのなんと自由なことか・・・。

クラシック批評こてんぱん  鈴木淳史著
涙が出るほど笑った。クラシックの批評をかなりひねくれた観点で分類・整理し、パロディしまくっている。
この本のなかで伝説のトンデモ本扱いされている神保景一郎の「クラシック音楽鑑賞事典」を僕は持っている。ひさびさに読み返してみる。ベートーベンの運命4楽章を聴くと、脳内に「金竜銀蛇」が飛び交ってしまう神保先生の熱すぎる感性を改めて噛み締めた。

あと、音楽書ではプロ・アマ演奏家が語る楽屋ウラ話、楽器・演奏スタイル紹介と言うような本が好きでよく読む。
書名は忘れたが、演奏家たちのマル秘テクニックコーナーがあって面白いのだが、あるコントラバス奏者のテクで、かかとにアルミ箔を貼ると、体に流れている微電流を床に逃がす・・とかなんとか言う理屈で、音がよくなり、かつ響くそうだ。
かかとにアルミ箔・・・なんとなくやって見たいような気もするが、僕の足は酸性なので化学反応して水素か何かが出ないか少し心配。

それとはまた別の書籍で福田進一氏が、ツメが割れたときのマル秘アイテム・釣り用アロンアルファを紹介していた。これはギタリストの間ではいまや常識で、ギタリストの金さんによると、南米あたりから来日するギタリストも、釣具屋に行って大量購入して帰るそうだ。
上州屋にギターケースを持っている人がいたら、ずばりその目的であろう。

2011年5月11日

直前練習&春合宿報告2011

前回は失礼。4/30合宿直前に練習あったんですね。
はじめての?大田区民センター。有楽町渋谷直通を使えば思ったより遠くないし、駅前だし、オリジン弁当はあるし。なによりよく響いて、うまくなったと錯覚してしまううれしい場所。

しかもこの日は小川君のファランドールの編曲が間に合って初合奏。このファランドールと言う曲、実はかなり僕の好きな曲。
正直言うとバッカスでやる曲って、練習前・合奏初期は聴きまくるのであるが、どうしても一種の義務感で聞いているところがあって(指揮者がこんなこといっていいんだろうか!?)完全に覚えて解釈してしまうと、もう聞かないことが多い。少なくとも合奏しているさなかや演奏会後は「もうおなかいっぱい」で当分は聞きたくない・・・。と言う状態が普通。

しかしこのファランドールだけは別。車の中や通勤中に大好きなPOPSやロックと一緒に聞いても違和感がない。本当によく出来た曲で、最初の勇壮なハーモニーもいいし、クライマックスでファランドールとかさなりながら、金管が三度で吼えるところなんて、何度聴いても痛快。ファランドールに限らないが、ところどころに仕掛けてあるビゼー独特の素敵な和声の変化がイカす。

この日は初見でありながら、この風呂場エコーなみの極上の響きのホールで初通し。いいじゃないか!最初の響きもいいし、高音パートと低音で追っかける例の部分も、鳥肌が立つほどかっこいい!ファランドールの部分、ついつい走ってしまうが、クライマックスのエグイ部分、弾きやすいよう横divしているので、意外にいける。重なり合っての低音パートの「三人の王」も豪快だ。

本当にいいなぁ!ファランドール。最後にこの曲があると演奏会自体が映えると思う。


そして連休!今年は節電で全社休業のため、連休中に仕事が動くこともなく、いつもより気が楽だ。前半は鴻巣の実家に子供をつれて泊りがけで帰省。2年位前は、行く末に思い悩んで眠れずにすごした実家の夜だったが、今は子供の世話でくたくたで即爆睡だ。

翌日、鴻巣の街を歩く。駅ビルに平日なので高校生がたくさん。鴻巣女子高、制服がおしゃれになったなあ・・・。鴻巣高校も学ランがブレザーに。こうやって駅ビルのフードコートで彼らが青春しているのを見ていると、自分の頃を思い出さずにいられない。
あの時はファーストフードはそれほどなく、肉屋のハムカツにソースをかけてぱくついていた。たまに男同士でミスド(ついになくなっていた!)に入って、たわいのない話を何時間もしていたな。ほんの25年ほど前のこと。

合宿初日、小川君が急病でこれなくなってしまったと言うことで、2.3部中心の合奏。2部のマリオネットはとにかく独特の「打ち込む」ピッキングを練習。3部のアルルは、棒への食いつきを練習。瞬発力があり輪郭のはっきりした音楽を目指す。

1日目の夜、飲みに参加、最近僕は「ワンカップ大関」にはまっていて、これを持参。ワンカップ大関は最近あまりはやらない甘口の日本酒だが、これをちびちび飲んでいると麻薬的にはまる。これを飲んでいるうちに非常に愉快になり、1日目の夜なのにかなりハイになり、若い男女の団員に自分の十代のころの純愛について語ったあと、只でさえ今年のトリはアルルなのだから、もっとラテンに、団員全員が艶雄&艶女になって恋に生きようとまくし立てた(周りはもてあましたろうなあ・・・)

2日目、AMはTOP会の話し合いで海にいけず。pmは1部のパー練をやってもらう。夕方から2.3部の練習。ティンパニもはいりゴージャス。休憩時間に久しぶりに歌本を開いて数人で歌って楽しんだ。短い時間ではあったが、これこれ、これが合宿だ!最近は夜の打ち上げで楽器を弾くことは禁じられており、昼間こういう機会しかない。もっと歌いたいな合宿で。


そして合宿のメインである夜の通し。いちおう2.3部の曲に一言ずつ。

航海王子
安定してきた。激しさ・メリハリもついてきて、曲の風景が見えてきた。後はSOLO部分をキャラだった音でしっかり演奏できるか・・・。最後のアッチェルをすっかり忘れていた。

リスボン
これは楽しい!みんながリズムに乗って楽しんでいるのが判る。メロディパートがもっともっと魅力的に歌えれば。

花便り
癒されるなあ。繰り返しなんだけど少しづつアレンジがにぎやかになっていく。本当に気持ちをこめると、心に来るものがある。

唐街
今は一番これが好きかも・・・。すごい感動の予感がする。

黒潮
最初のリットは、頭で考えるのではなく、自分が潮に乗ってゆったりと盛り上がる波に乗るように。リズムがはいってから狂おしいほど高揚する。クライマックスは、ティンパやサスペンダーシンバルを入れて壮大にするつもり。マリオネットのお二人に許可を取らなくては。

アルル
プレリュード
最初のテーマはもっと音量がほしい。あと平面的に弾くのではなく重たい振り子を動かすような慣性の力を感じたい。第一変奏ギターの合奏、レガートで流れる感じがまだない。後半の音も少し怪しい。4分音は絶対ビブラートしたい・・・。第2変奏、もっと遠近感と言うかメリハリがほしいなぁ。第3変奏、音がかなりはっきりしてきたけど、何かこう流れる感じがしない・・・。第4、これはいいけど、もっと雄雄しく図太い音で行きたい。後半のフレデリックの恋の悩みの部分。ここはなかなかきれいだが、まだ頭で考えて歌っている部分があって。ここが体全体で心から歌えるとすごくいいんだが・・・。

メヌエット
祝祭の音楽だからもっと華やかに元気に!最後のポン・ポンがこけたのにはかなりがっかり。

カリヨン
音もよく出ていてタテの線があっていればそれなりに聞こえる。

メヌエット
特訓の成果があり、フルートとギターの相性はかなりよくなった。でもまだタテの線だけであわせている。横の流れがあうと本物なんだが。

ファランドール
最初の響きがまだまだ貧弱。録音したときは最初から急ぎすぎてしまった。マンドリン・フルートの早い動きは見事。後半はドラチェロ大変だと思うが、なんとか奮闘してほしい。なぜなら苦労した分だけ、いやそれ以上に報われる部分だから。この曲が一番最後に譜面が上がったんだが、いちばんいいなぁ。


その夜は大打ち上げ!新人さんの自己紹介もあったが、時間短縮のせいか、セクハラの疑惑があるのか質問コーナーがなかった。ぼくは一日目に盛り上がり過ぎてしまって、この日はあまり飲まず騒がず、あっさり退却。

翌日は子供を群馬に迎えに行くため11時前に帰るので、1部は指揮経験者・TOP経験者3人にたたいて通してもらうことに。偶然全員DOLAであったが。こうして今年は乳飲み子を抱えて練習全参加が困難とされている2人の指揮者の穴を埋めると同時に、隠れた人材を発掘し、かつ大勢のオケを取り仕切る大変さを味わってもらうと言う狙いがあるのである。今後もいろいろ経験していただくつもりなのでよろしく!

日本が大変な状況で開催が危ぶまれた春合宿、最後まで無事に終わりました。ちょっと後ろめたい気分ですが、楽しく過ごせたこと、合宿係さん、皆さんとその家族に感謝。

さあ、中盤戦に突入!