2012年6月25日

無心なる情熱

6月である・・・蒸し暑くて叫びだしたいほど不快かと思うと、明け方寒くて風邪をひきかけたり、日中夏日だったり。不安定な日々。世間でも変な事件ばかり起こる。渋谷や大阪で人が切られたり刺されたり。そういえばあの忌まわしい秋葉原の事件も宅間の事件も6月だった。あの明智光秀もプッツン逝ったのは6月だし、歴史上はもっとたくさんあるんだろう。6月とは恐ろしい時期である。

湿度が高すぎて楽器も不安定である。気圧が低いので、人もどこかテンションが低い。6月だ。6月が全部悪いんだ~っ!!

6/16の練習。
1楽章のシンフォニーは本当にオケ全員の気持ちが良くまとまった。気迫も十分。何年かぶりに安心して、自信たっぷりに聞かせられる曲。一曲目からこんなに盛り上がっていいんだろうか。

アンコールの話し合いも。一時期「2億四千万の瞳」を今回のアンコールに考えていて、聞きまくっていた(今回は違います)。曲も最高にいいが歌詞がすごくいい。特に2番「抱きしめて/男を女をハーフを」って。中学生当時、この歌詞は衝撃だった。男と女以外に中間がいるのか・・・悩んだ末「ピーターや相良直美みたいなもんかな?」と無理に納得していた。

この日は杜を中心に。
かつて内藤正彦さんが武蔵野の地下水をテーマに水琴くつのイメージで天国的に美しい曲を書いていたが、その美しい地下水を吸い上げ立ち尽くす欅の巨木のイメージ。杜は本当に良くなったが、なんだろうこの飽和感。

みんなもう完全に手の内に入ったのだが、そこから先にいけない。ディテールは正確になってくるが、曲の荒々しいみずみずしさ・色彩感が磨り減ってきた。ここからがむずかしい。

今度みんなで練習帰りに大きな欅に耳を当て、木が水を吸い上げる音を聞いてみようか。音がするとは聞くが、実際聞いたことは無い。うねる梢も、葉を鳴らして渡る風の音も本物を聞きたい。

6/17、練習を見ている某高校の引退式。今年もなかなかにいいメンバーで、県大会でいいところまでいったんだが僅差で全国にいけず。愛の悪戯をすごい大人っぽい解釈で演奏したので、音楽性は図抜けていたんだが・・・。

みんな始終大泣きであった。2.3年生で最後の合奏は思い出のRURUを。状況が状況だけに胸に迫ってくる。自分の高校のときの山岳部の引退式を思い出した。
夏休みも終わりの昼さがりの生物室。女子は泣いていた。男子は泣かないように平然を装い後輩へのメッセージを順番に語った。
僕は笑いを取ろうとしたが、微妙に滑っていた。最後に部長のKがしゃべり始めたが、ことさらに無表情に淡々と思い出を語るだけだったが、ふと下を見ると必死にいすの足を蹴っていた!奴なりに感情をこらえていたのだろう。なぜだか僕まで涙がこらえきれず、体が震えて困った。

女子校マンクラの話に戻る。
いつかも書いたが、この引退式での演奏が毎年すごい。もはや全ての義務感から開放され、無心に合奏を楽しんでいるのだ。明日からもうマンドリンを手にすることの無い連中のひたすらまっすぐな音。

これだ。いまの「杜」にはこの無心な情熱が足りないのかな。年齢は関係ない。アルコールや言葉で汚れた体と精神も関係ない。
音楽はそういうものに関係なく、人間を平等に、得がたい喜びに導いてくれるものだ。無心なる情熱こそが奏者と聴衆の心をつなぐと思う。

さあ、次はもう7月、いよいよクライマックスに突入。