2012年5月29日

5月の点描

春合宿の翌週、はやくも下丸子。大田区民センターは音がいい。


この日は杜の鼓動・ジャニーズ。
このホール、杜の鼓動にぴったりだ。

ただしみんなの気持ちが合うまでに少し時間がかかるようだ。
最初の一音こそもっと気持ちをこめたい。


音楽は時間の芸術だから、最初に気の入っていない音から始まると、もう曲の入り口に入れない。もう一回戻る・後から挽回していく、なんてことはありえない。最初に一番いい音を出せば、聞く人はいい印象ですんなり曲の世界に入っていける。後が楽なのだ。



予備拍に全ての準備を追え、音を出すと同時に終わってる・・・くらいでないと。音が出てから周りに流されてなんとなく気持ちを入れていく・・・じゃ絶対におそい。いわゆる何が言いたいかわからない演奏になる。


それだけではない。自分がコンサートを聴きに行くとき、最初の何十秒かは楽器の音に聞き入るけれど、人間てすごく飽きっぽい。どんなにきれいな音でもすぐに飽きて音の背後にあるものや奏者の表情やキャラクターに関心がいく。結局人って楽器の音よりもその背後にある情熱やドラマ・奏者の人柄を聴きたいんじゃないだろうか?

そういう意味では杜の鼓動、練習の最後の演奏はとても良かった。さびの部分よくうねっていた。短い曲(フレーズ)なのだけれどこの4小節に生命力の嵐を感じた。

吉田松陰の「留魂録」に、どんなに短い人生であっても春夏秋冬はある。たとえ少年の身で生を終わろうともそこにはかならず人生の起承転結がある。というような言葉があったけれど、確かに杜のたったこの4小節のなかに、どんな長大なシンフォニーにも負けないドラマがある。


もし自分が、人生で後1曲しか弾けないとしたら・・・・と想像してほしい。その勢いで弾いてほしい。大げさで芝居じみているけれど、これこそが曲想というもので、音楽の本質なんて以外とそんなところにあるんじゃないか?

杜の鼓動は生命や自然の深奥に触れさせてくれる曲。




そしてジャニーズ1楽章。

お嫁サンバが来てるなあ・・・。日本の三大サンバといえば、てんとう虫のサンバ、お嫁サンバ、マツケンサンバだが(勝手に決めるな!)やっぱお嫁が最高っす。お嫁に行く人にむかって”いかないで/ひとりのものにならないで”だもんなあ。ようは「結婚なんてやめて、もっと遊ぼうぜ!」ってことでしょう?

郷ひろみって、何年かに一度色物系の曲を出すんだが、これがまたブームになる。「カサブランカ」とか「SexyYou」とか「禁猟区」とか、基本カッコいいんだけれども。時たまかますステ曲が魅力でしょうね。郷ひろみと言えばみんな盛り上がるのは「エキゾチックジャパン」だよな・・・・。どこかで狙いたい曲ではある。


とりとめも無いが、次回は、1楽章のシンフォニー、ジャニーズ3楽章なども。



2012年5月7日

再開!2012春合宿報告

ほとんど8ヶ月死んでいたこのBLOG・・・春合宿を機に勝手に再開!

過労死寸前40代の心の叫びを聞け!というわけで合宿について報告しつつ今年の曲目等についても。

今年は仕事と育児で練習のフルタイム参加が難しく、大トリは小川君にまかせることに。

まず大トリは静一ワールド最後の砦「火の山」・・・ついに踏み込んでしまった。大自然と人間との果てしない戦いを描くという大きすぎるテーマで、いつにもまして静一ワールド大全開。
去年の3.11を意識したわけでもないが、少しそういうことも考えた。

で、2部もう一曲はペールギュント。これはシンプルながら美しい名曲。マンドオケでも違和感のないポピュラークラシックの名曲。であるが帯に短しで、なかなかステージには乗らなかった曲。今回大トリの重さとの対比でやっとデビュー。小川君の編曲で理路整然とした美しさに仕上がるはず。

僕の担当する1部はまず一曲目はヴェルキの一楽章のシンフォニー。これは僕のイチ押しの曲だけにうれしい。ヴェルキの大編成時代の曲の中では最高峰ではないか?

2曲目はもはやマンドアンサンブルのシンボル的名曲となった「杜の鼓動-魂の還る場所」。いまどきはYOUTUBEでこれを聞いてマンドリンを始める人もいるそうで。丸本さんのその人柄を髣髴とさせるこのメロディを大所帯で表現するには・・・。音量よりも広がりとうねりの幅と見た。

そして・・・今年の企画。いくつか考えて、ある程度頭の中で作っていたのだが、今年は何しろ毎日終電で入力の時間がない。

いろいろ経緯があって、吉水先生が去年米子MOさんのために作られた「ジャニーズに首ったけ!」の存在を知り、先生自身に問い合わせて曲目を聞いた時点でほとんど狂喜、米子MOさんのすぐれた、また楽しそうな演奏も聴いた上でこれしかないと決断。そのむね団員にもOKをとり、吉水先生にも許可を得た・・・。

僕のマニアックな楽理無視のなんでもありの編曲を面白がってくれる皆さんには申し訳ないが、企画ステージはそもそも僕などの編曲作品を発表する場ではなく、奏者とお客さんで楽しむためのもの。

僕の編曲は、その地域の出身者にしか珍重されない郷土料理のようなものであるが、吉水先生はさすがに一流のシェフであり、その選曲・構成のセンスはもっと広く愛され楽しまれるべきものだ。これを僕がバッカス流に指揮・演奏し、お客さんと楽しむことができれば、それで企画ステージの意図を達成できるのではないか。


さて、合宿。連休前半は、比較的のんびり子供と遊んだり、午後から出社したり。出勤日の後、3日大雨の岩井へ。

まず一日目はジャニーズから。いやあ楽しい。ただ、合宿のメンバーには初見の人間も多く、ややこしいリズムや、タイを多用するメロディにやや難渋している様子。

仮面舞踏会とかかっこよすぎるし。練習の合間80年代仲間で、実は加山雄三は確信犯だったのでは?などと盛り上がってしまうのは言うまでもない。
お嫁サンバ・ギンギラギンの流れは気が狂うほど楽しい。やっぱりジャニーズはいい。

今回はギターパートでの参加を断念したため、自分の練習以外ではスコアを読んだり、第三者の耳で聞いたり、休んだりして、それもまた新鮮だった。


一日目の夜は12時過ぎから飲む。普段みんなと飲めない分、この日は大吟醸を次々と空にし、4時近くまで気の会う連中と談笑・・・。やっぱり合宿はこれだ。

翌朝はギターのパー練をした後、みんなは海へ禊に。僕は前夜の寝不足がたたりダウン。今年は若い男子が複数突入したらしい。お約束のポロリもあったそうで黄色い悲鳴とカメラのフラッシュが多数ひらめいたとか。今年は全体に男女ともに若がえった感じがする。「きゃりーぱみゅぱみゅ」とかまずに言える若人がうらやましい。

さあ午後。4月の時点でもう通して振っているシンフォニー。これはみんなもうがっちり弾けているので、後の課題として1ミリの狂いも許さない精巧な鉄筋コンクリート建築のような音楽にしたい。普段「合わせなくていい」といっている人間が、ここまで合わせにこだわる意味をわかっってくれたろうか。

ペール。編曲はすごく洗練されシンプルで最小限の音しかないのだが、とてもよく鳴って美しい。朝・オーゼ、どれもトレモロの波がきれいに曲にはまっている。弾きやすいということもあるだろうが。これも想像以上によく、みじかいのがもったいない。


そして夕食後、再びジャニーズ。昨日はとくに3楽章がほとんど音が取れていなかったが、24時間後、別人のように音が取れていた。3楽章、90年代以降の曲が多いので、僕は1楽章よりとっつきにくいのだが、若い世代はもちろんこっちのほうがなじみがあるだろう。おはロックはなにか仕込ができそうな素材。ガラスの少年は、アレンジも渋い。リアルフェイス・・・これは難しい・・・でもYOUTUBEで原曲を聞いて覚える。弾けるようになると、やはりかっこいい曲。

らいおん・ハート。こんないい曲だったっけ?かなりきれいでおしゃれなアレンジである。そしてWAになって踊ろう・・・。これは日本のソウルミュージックの名曲である。ぜひ参考としてV〇ではなく角松敏樹のライブ版(これもYOUTUBE)を見てほしい。(そしたらジャニーズじゃないじゃん!)


そして火の山、この日は通し中心で、やっとこの大曲の全貌が見えてきた!
全曲一分のすきもないほど濃い曲である。結局なんだかんだいって、今年もエネルギー使う曲だらけである。


2日目夜の大打ち上げ。新人紹介が多く、明らかに世代は変化しつつあるようだ。もちろん復帰組も多い。自己紹介では一人の例外も無く質問タイムでのつっこみに爆笑が起こる。

飲みも佳境に入りふと気がつくと、むくつけき男4人と新人を交えた女子4人とで差し向かいで飲んでいた。なにか昔の部活を聞いて、そのコスチュームを想像して萌えようという鉄板ネタの提案があり、女子に順に昔の部活を聞くことに。

ある女子は女子高の演劇部だったと。すると某が、女子演劇部の男役は、男の立ち居振る舞いを身につけるために普段からソーセージを股に入れているのは本当かと問い詰め、周りからとめられていた。
また、ある女子がテニス部と聞くと某はスコートについて熱く語り始めた。
また某は女子剣道着の話からなぜか薙刀最強論を熱弁し、まわりから「女子ポカンとしてますよ」とたしなめられた。

僕は吹奏部出身という女子に、憧れの先輩から「ヘタクソだなあ、こうやって吹くんだよ」と楽器を取り上げて吹かれ、それを返された場合、そのまま拭かずに吹くのか、と日ごろの妄想を全開にして聞いてしまった。

その後男のほうも過去の部活を告白したが、僕が中学時代バスケット部だったというと、同じくバスケ部だった某に「ポジションどこでした?」と聞かれたので、キョドってしまった。バスケットにポジションって・・・あったっけ?

バッカスの仲間が長続きする秘訣は、飲みでなまじいな音楽議論をしないところにあると思う。飲むときは徹底的に楽しく飲めばいいのだ。

というわけでキャバクラなら高いだろうなあ・・・という楽しい夜をすごしたのであった。


翌朝、僕の都合で1部三曲通し。1楽章も杜も、もう仕上げといっていいほどの出来、ジャニーズも飛躍的に音がとれなんとか通し、今回も実りある合宿となった。


みんなより一足先に内房線に乗り込み、うとうとしながら考えていた。
昨日の飲みでの話題で、その風貌とキャラでわが団の人気者某(男)が数年前の打ち上げにピンクレディのUFOの衣装(銀のうろこのワンピースだ)を着て登場したことがあり、それが妖怪「油すまし」に似ていた、いや「子泣きじじい」だ、いや「小豆とぎ」だと論争したのだが、子供の頃見た水木しげるの妖怪百科を思い出しながらいまふと気付いた。そう・・・あれは「ひょうすべ」だ!

ぼくは内房線で一人吹き、周りから怪訝な目で見られた。
去年もそうだがバッカスの合宿の帰り道には思い出し笑いが付き物なのである。