なんと2ヶ月ちかいご無沙汰!
会社の引越しもあったし、珍しく本業でかなり大きな仕事を受注したのはいいのだが、その仕事でもう2ヶ月終電がえりの生活なのである。そんな日々の中の音楽的イベントを駆け足でレポート。
まず、もう大分前の話だが9月頭のKMA門下生発表会。おもなお目当ては修了生千葉君の独奏と小川君の指揮だが、オケの合奏が素晴らしい。計算し尽くされたディナミーク・テンポ。こういう精密な合奏もあるんだな。自分には絶対出来ない合奏である。千葉君と小川君も堂々として、身内の贔屓目ではなく一番素晴らしく思える。
そして9月中旬神保町を引き払い、新天地護国寺へ。護国寺はお寺と学校と高級マンションの街である。なんとも静かでのどかなのはいいのだが、刺激が無い・・・。
そして9月後半はもう3年連続になる新田図書館コンサート。今年のテーマは、ちょっとしたきっかけがあって家内と「あいのある音楽を」ときめていた。そう決めると、不思議にうまく演奏しよう、テクを見せよう、高い評価を得よう、なんてぜんぜん思わず、とにかく終始舞台の上であいを放出した。最初の曲こそ緊張したものの、楽器紹介を兼ねて、マンドリンの名曲や、歌謡曲・CMに使われているマンドリンを再現。結構受けて客席の笑顔が増えてくると、こちらもリラックスしていい演奏になってきた。
クラシックから映画音楽、ボサノバまで、今年は終始楽しく演奏できた。お客さんはありがたいことに今年も超満員。
個人的な目玉は、この日のために作ったマンドリンとマンドチェロのための「わらべうた・あそびうた」。デュオコンサートでは初めてチェロを弾くことになる。この曲は楽譜ソフトを使わず、1ヶ月前からマンドリンとチェロで実際に合わせながら、何度も書き直して少しづつ完成させていったという、自分としては珍しい作り方をした曲。
マンドチェロは一般人からは「うわ、大きいマンドリンだ!」という感じで受けもいい。20年ギターを弾いといてなんだが、僕はギターよりチェロのほうが向いているかもしれない。テーマがテーマだけに、聴衆の表情も柔らかく、リラックスして聞いてくれている。曲の最後、pppでチェロが「もういいかい・・・まあだだよ」と弾く前にたっぷり間を取るのだが、その時点で聴衆の何名かはすでにハンカチで目頭を押さえていた!客席の感動が伝わり僕もほとんど涙ぐみながら「もういいかい」を万感をこめて弾く。客席と舞台の心が間違いなく一体となった瞬間であった。
トリはツィゴイネル。千明氏のマンドリンが満を持して炸裂し拍手。客席と歌うコーナーがあって、今年は百万本のバラ、アンコールはもはや定番となった自作のマンドリンとギターのための「八木節」であった。去年も楽しかったのだが、今年は格別であった。いいコンサートをするには、同じ場所で何回かやらなければ・・・と思う。この日のコンサートの模様は写真入りで上毛新聞に載った。
K女の学内コンサート。アンダーソンとマンドニコというシブ過ぎる選曲。何も教えていないのに、聴衆の誘導から楽器紹介から挨拶まで全部自分たちでやっている。随分成長したなあ、と感心。
10月の頭には前橋の萩原朔太郎マンドリンフェスティバル。実は今年、ゴンドラ・マンドリーノのギターパートに欠員が出て、出させていただくことになっていたのであるが、本業が忙しく断念した!悔しい。ゴンドラのステージを見て家内と竹間さんを車に載せて深夜かえる。
色々とお誘いの話をいただくのだが、日々恐ろしい忙しさで、土日も仕事か地方のイベント。関係者の皆さんには不義理を重ねる毎日となってしまっている。
深夜残業で唯一の心の慰めはyoutube。さすがに画面を見ることは出来ないのでイヤホンで好きなミュージシャンやアイドルの曲・アニソンを聴く事が多い。
聞いていて癒しというか、アルファー波が出てくる声質というのがある。いろいろいるのだが最近発見して意外にいいのが河合奈保子。
やっぱりマンドリンクラブつながりだからだろうか?
バッカスマンドリーノの指揮者たちが日々の雑感などを徒然なるままに書き綴ります。マンドオケを中心とする音楽への飽くなき探求から、マニアックな趣味、果ては社会問題・現代世相まで何でもアリです。
2007年10月25日
2007年9月8日
初心
本番より早2週間、本番のDVD上映&アンケートを見た。
アンケートではたくさんのお客様からうれしい感想・鋭い指摘・暖かい励ましをいただいた。
やはり音量・迫力の点で物足りなかったのは事実のようだ。これはホールのせいだけではなかろう。もっと音のヌケのよさ、元気さが欲しい。しかしアンサンブルにはいい評価をいただいたようだ。
チューニングはやはり長すぎたかもしれない。ステージングも、アンコール+エンディング+アンコールはさすがに重かったか。しかしこれも賛否両論で、いいという人もかなりいた。しかし今回のアンコールは2曲ともプログラム中の曲を再演奏している。少し芸が無かったかもしれない。
プログラムの曲に関しては本当にそれぞれなのだが、どの曲ももったいないほどの言葉をいただいた。展覧会も編曲のすばらしさを味わっていただけたかと思う。ただ、肯定否定ともにレギュラーオケに比べて○○と言う感想が多いのが気になる。オケよりいいとか悪いとか、余り考えたことが無い。特に展覧会の編曲は、ラヴェル版のイメージとは全然違う。あくまでマンドリンのアンサンブルのための編曲なのである。
たとえば軟式テニスというのがある。競技としての普及度やパワー・スピード面では硬式にかなわないのであろうが、ベコベコの柔らかいボールで緩急自在に変化球を使い分け、見ようによっては硬式よりも面白い物である。絃オケとマンドリンオケにも同じ事がいえないか。と、永遠の論議を蒸し返してもそれこそ詮無いのだが。
DVDを見ているとやはりどうしても自分の指揮を見てしまうのだが、われながら10年位前の馬鹿踊りから比べたらうまくなったと思う。呼吸も感じられる。しかし、まだまだ硬い・・・。本番は楽しみながら振れたのだが、本人が感じている半分も見ているほうに楽しさがまだ伝わってこない。これは奏者も同じこと。これは課題だろう。
昔と比べて、といえば群馬の団友Sさんから1991年の関マンの録音をいただいた。実に16年前に自分が指揮した演奏である。会長をはじめ、バッカスの創立メンバーと始めてであったときの演奏でもある。僕は大学3年、指揮を始めて2回目の演奏会だったが、大胆にも神駒ブロックの片割れの指揮者をつとめていた。
曲は演奏会がクリスマス直前だったので「降誕祭の夜」。聴いてみると、1楽章は最初から走っている。盛り上がってくると拍が全部前に滑っている・・・もちろん指揮者の責任。それなりに勢いはあるが未熟そのものの演奏。2楽章はというと最初に妙な間があるがゆっくりと存分に歌わせてなかなかの演奏。少しほっとした。3楽章は・・・曲の冒頭に勝手にカンパネラソロを入れたりしている。そしてこれも走り気味だが、中間のコラール部分はクサイほど芝居がかってすごく綺麗に歌い上げられている。これは当時師事していたT先生のご指導の賜物であろう。可笑しいのは曲の終了直後にみんなでなにかの笛を吹いて大騒ぎしている。たぶんクリスマスだからであろうが、16年前も今とやっていることはまったく変わっていない。
これをききながら、当時のことを思い出した。一期一会の他大学の奏者、お客さんと、舞台の上で無我夢中に楽しめれば、卒業も就職もどうでもよかった日々(だから今苦労しているのだが)。この演奏会のために、高田馬場の貸衣装やさんに自腹で牧師の衣装を借りに行ったこと。その日の自分は大まじめに舞台と曲席の間に立ち、音楽という祈りを交流させる司祭のつもりだったのであろう。このCDを聞いて、どうやら初心を思い出したような気がする。
アンケートではたくさんのお客様からうれしい感想・鋭い指摘・暖かい励ましをいただいた。
やはり音量・迫力の点で物足りなかったのは事実のようだ。これはホールのせいだけではなかろう。もっと音のヌケのよさ、元気さが欲しい。しかしアンサンブルにはいい評価をいただいたようだ。
チューニングはやはり長すぎたかもしれない。ステージングも、アンコール+エンディング+アンコールはさすがに重かったか。しかしこれも賛否両論で、いいという人もかなりいた。しかし今回のアンコールは2曲ともプログラム中の曲を再演奏している。少し芸が無かったかもしれない。
プログラムの曲に関しては本当にそれぞれなのだが、どの曲ももったいないほどの言葉をいただいた。展覧会も編曲のすばらしさを味わっていただけたかと思う。ただ、肯定否定ともにレギュラーオケに比べて○○と言う感想が多いのが気になる。オケよりいいとか悪いとか、余り考えたことが無い。特に展覧会の編曲は、ラヴェル版のイメージとは全然違う。あくまでマンドリンのアンサンブルのための編曲なのである。
たとえば軟式テニスというのがある。競技としての普及度やパワー・スピード面では硬式にかなわないのであろうが、ベコベコの柔らかいボールで緩急自在に変化球を使い分け、見ようによっては硬式よりも面白い物である。絃オケとマンドリンオケにも同じ事がいえないか。と、永遠の論議を蒸し返してもそれこそ詮無いのだが。
DVDを見ているとやはりどうしても自分の指揮を見てしまうのだが、われながら10年位前の馬鹿踊りから比べたらうまくなったと思う。呼吸も感じられる。しかし、まだまだ硬い・・・。本番は楽しみながら振れたのだが、本人が感じている半分も見ているほうに楽しさがまだ伝わってこない。これは奏者も同じこと。これは課題だろう。
昔と比べて、といえば群馬の団友Sさんから1991年の関マンの録音をいただいた。実に16年前に自分が指揮した演奏である。会長をはじめ、バッカスの創立メンバーと始めてであったときの演奏でもある。僕は大学3年、指揮を始めて2回目の演奏会だったが、大胆にも神駒ブロックの片割れの指揮者をつとめていた。
曲は演奏会がクリスマス直前だったので「降誕祭の夜」。聴いてみると、1楽章は最初から走っている。盛り上がってくると拍が全部前に滑っている・・・もちろん指揮者の責任。それなりに勢いはあるが未熟そのものの演奏。2楽章はというと最初に妙な間があるがゆっくりと存分に歌わせてなかなかの演奏。少しほっとした。3楽章は・・・曲の冒頭に勝手にカンパネラソロを入れたりしている。そしてこれも走り気味だが、中間のコラール部分はクサイほど芝居がかってすごく綺麗に歌い上げられている。これは当時師事していたT先生のご指導の賜物であろう。可笑しいのは曲の終了直後にみんなでなにかの笛を吹いて大騒ぎしている。たぶんクリスマスだからであろうが、16年前も今とやっていることはまったく変わっていない。
これをききながら、当時のことを思い出した。一期一会の他大学の奏者、お客さんと、舞台の上で無我夢中に楽しめれば、卒業も就職もどうでもよかった日々(だから今苦労しているのだが)。この演奏会のために、高田馬場の貸衣装やさんに自腹で牧師の衣装を借りに行ったこと。その日の自分は大まじめに舞台と曲席の間に立ち、音楽という祈りを交流させる司祭のつもりだったのであろう。このCDを聞いて、どうやら初心を思い出したような気がする。
2007年9月5日
神保町賛歌
会社が移転するので15年間も慣れ親しんだ神保町を離れることになった。移転先は護国寺なので、そんなに遠くなってしまうわけではないが、この街を去るのは本当にさびしい。もう、路地裏のシミ、街路樹の一本一本まで知り尽くした街なのだ。社会人としてのスタートを切って以来、人生の酸いも甘いも味あわせてくれた思い出の街である。
本当にこれ以上好きな街はない。どこがいいのか、思いつく限りあげてみよう。
日本一、古本屋・中古レコード屋が多い街。量、質、種類ともにこれ以上は無いであろう。古本・古レコードほど僕を楽しませるものは無い。ほぼすべての古本屋を知っている。中でも斉藤秀雄や小沢征爾が通った戦前からの音楽家の聖地、古賀書店。僕はここで何百時間すごしたかわからない。何十冊も楽譜を買った。高くて手が出ないときは、立ち読みで必死に覚えて8小節ぐらいづつ店の外でメモり、それを繰り返すというあほなことをやった。
日本一楽器屋が多い街(御茶ノ水よりだが)、登山用品店が多い街。これも僕の趣味にとってはうれしいことこの上ない。
日本一喫茶店が多い街。GETした古本を喫茶店で読む快楽は何者にも替えがたい。
それ以外にも日本一カレー屋が多く、怪しい質屋が多く、怪しい大人の絵本屋さん、ビデオ屋が多い。サブカルチャーの本場だ。
そして、何よりも出版社や大学が多く、町全体に漂う文学臭と言うか、左翼インテリっぽい空気、一年中文化祭前夜のような、青臭い活気がたまらなく好きだった。
自分の嗜好が神保町にあっていたのか、神保町が自分をこうしてしまったのか・・・。
ありがとう神保町。そして僕はいつかまた、必ず神保町に帰ってくるであろう!
本当にこれ以上好きな街はない。どこがいいのか、思いつく限りあげてみよう。
日本一、古本屋・中古レコード屋が多い街。量、質、種類ともにこれ以上は無いであろう。古本・古レコードほど僕を楽しませるものは無い。ほぼすべての古本屋を知っている。中でも斉藤秀雄や小沢征爾が通った戦前からの音楽家の聖地、古賀書店。僕はここで何百時間すごしたかわからない。何十冊も楽譜を買った。高くて手が出ないときは、立ち読みで必死に覚えて8小節ぐらいづつ店の外でメモり、それを繰り返すというあほなことをやった。
日本一楽器屋が多い街(御茶ノ水よりだが)、登山用品店が多い街。これも僕の趣味にとってはうれしいことこの上ない。
日本一喫茶店が多い街。GETした古本を喫茶店で読む快楽は何者にも替えがたい。
それ以外にも日本一カレー屋が多く、怪しい質屋が多く、怪しい大人の絵本屋さん、ビデオ屋が多い。サブカルチャーの本場だ。
そして、何よりも出版社や大学が多く、町全体に漂う文学臭と言うか、左翼インテリっぽい空気、一年中文化祭前夜のような、青臭い活気がたまらなく好きだった。
自分の嗜好が神保町にあっていたのか、神保町が自分をこうしてしまったのか・・・。
ありがとう神保町。そして僕はいつかまた、必ず神保町に帰ってくるであろう!
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