2007年6月9日

王子ブームに思う

王子ブームである。
スポーツでずば抜けた才能を持っていて、さらにさわやかなルックスを併せ持っていると王子と呼ばれるらしい。
優秀な選手はほかにもいるのに、王子と呼ばれるかよばれないかの違いが明らかにあるわけで、世間は結構残酷である。

しかし最近は異常人気や過剰報道が多少は省みられているらしい。将来有望な選手を若いうちから持ち上げすぎるのもどうかという意見もいまさらながらある。

しかし、なぜこんなにも王子がもてはやされるのか?
それは今の時代では希少価値があるということだろう。いまどきの少年といえば茶髪やピアスでゲームばっかりやって、不登校で傍若無人、さらには犯罪を犯したり気味の悪いことばかりして、たまに才能や実力があっても亀○兄弟のようにうぬぼれて鼻持ちならない・・・という世間の常識があるから、才能と若者らしいひたむきさがあると、いまどき珍しいとばかりにもてはやされるのであろう。

だが、僕の少年のころは、近所や学校に、程度の差はあろうがスポーツ万能・成績優秀しかも家が貧乏で性格は純朴で明朗、なんて若者はどこにでもいた。今のあれが王子なら昔は王子だらけじゃないかと思う。全然珍しくなかったのである。

さらに時代はさかのぼるが、きけわだつみの声を読んでほしい。全国から集まった帝大クラスの超優秀、文武両道の若者・特攻隊員たちの遺書であるが、最後の言葉に見るその純粋さ、真摯さ、多感さははいまどきの王子の比ではない。

こういった宝物のような若者たちを狂ったように片道燃料で体当たりさせてしまうんだから当時の日本はおかしい。
しかし、堕落していく若者を作り出しておいて、たまに奇跡的な確率で理想の若者が現れると、とたんに珍重して持ち上げだめにしてしまう今の日本もそれに劣らずおかしいのではないか?