2010年8月31日

バッカス20本番前夜&本番レビュー前編

本番前夜。石川君が撮った合宿のDVDが送られてきた。
早速、全神経を集中して、オケ側からの自分の指揮をチェック。(いままでオケがわから自分の指揮を見たことは無かったのだ)2部に関しては、ほぼOK。というか、振っているほうもウケっぱなしで、すごく楽しそう。棒もおおげさで分かりやすい。

しかし新世界に関しては・・・。いろいろ発見。いいところも悪いところも。それ以前にテンポの設定だ。 面白いことに気付いたのだが、天井の低い川金のテンポは非常にせかせかして早く聞こえる。振っているそのときはそう感じないのだが。 もし仮にこのテンポで天井の高い杉並やモーツアルトホールで振ったら、音が団子になり音楽が崩壊するだろう。なぜなら天井が高いと音のレスポンスが遅くなり、響ききる時間が長くなるからだ。

杉並でのゲネのテンポが遅くなってしまったのはあながち失敗ではなくて、ホールの響きで本能的に指揮者と奏者が選んだテンポなのだ。ただ、その自覚が無かったので無理にテンポを引き戻そうとして混乱したのだ。 天井の高さ(箱の大きさ)でテンポの感じ方は替わる。ゾウにとっての1時間がネズミにとっての1日であるように。

わかった。わかったよ。箱の大きさで微妙にテンポは替わるんだ。 20回にして悟るな!そんな大事なことを。
これをみなに話して間に合うのか?いや、音楽はその気になれば一瞬にして変わる事ができる・・・それを信じよう。

 19年の総決算バッカス20、 いよいよ運命の当日がやってきた。集合して元気に挨拶を交わす。いきなりあわただしく109人が乗る舞台設営である。 オケピをあけて、舞台を出す。ひげダンス用であるが、客席を何列かつぶしてでも板を出すことで、ものすごく音のとびがよくなるという効果を発揮することに後で気付く。

さて練習だが、いつもながら最初は合わせづらい・・・。客席に人が座らないと、音が散ってしまうのだ。 しかし、オケの前に板があることで、客席から聴いていると、音がすごく飛んでくる。これは例年には無いことだ。

昼食後、リハ、新世界の練習。前夜に悟ったテンポの件を話し、理解してもらう。 この日、新世界の練習は全曲通しただけ。いつも入念に要注意箇所を繰り返す自分にしては異常な光景である。いいところだけをほめて、かすったところはスルー。本番では必ずやってくれると演奏者を信じているのでもう何も言わない。この団員との信頼関係、19年かかって得た最大の財産である。

その分ドリフのリハを入念にやって、いつもより時間が無い。押せ押せの進行だ。時間がとぶように過ぎて気が付いたら夕食。もう開場か。

ところでこの8/28はマンドリン関係のイベントが多い。早慶ジョイントもあり、しかもこの酷暑・・・20回記念ではあるが特別いつもより派手に宣伝している訳ではない・・・お客さんはたくさん来てくれているだろうか? 期待と不安で押しつぶされそうだ。

入場すると・・・うわっ!1階席も2階席も満員だ!立ち見までいる。ありがたくて涙が出そうだ。ものすごくうれしくもあったが、恐怖に近い緊張も覚える。もう後には引けないぞ!

1部小川君の作ったファンファーレ。みっちゃんのソロ、まっすぐにきれいに響き渡る。幸先がいい。このファンファーレ、TUTTI2小節目のB♭/D→Gm6の動きが、どこかRPGかなにかの冒険のテーマっぽくて小川君らしい。

パストラ、冒頭のモチーフの響き、すごくきれいである。やっぱりこういう音楽には最高のホールだ。その分早いリズムはあわせるのが難しい。指揮をしっかり見てあわせる。

舞踊風も早い部分は最初音がなりきらないうちに先先へ行っているような感じに聞こえるが、パーカスもしっかりあって、合わせにくくはない。中間部のゆったりしたモチーフ、聴いたこともないくらいきれいである。2曲ともマンドリンオリジナルの代名詞というべき名曲だけあって、弾いていても本当に燃える。総じて1部はもちろん大成功である!

2部、はっぴに着替えて舞台裏で待つ。YASUKOさんが僕のリクエストに答え舞台と客席で「オイッス!声が小さい」とやっている。なんでアニメ声・・・。そして結構ノッている客席。舞台裏では笑い転げている。つかみはOKである。

さて全員集合、コラールが泣きたいほどきれい。そして掛け声の後北海盆歌。子供の頃毎週土曜日、胸をときめかせてこの曲を聴いたものだ。そしてタブー。照明が落ち、例のリズムが聞こえてくる。そして卑猥な掛け声の中、ピンクの照明の中で、ソロを弾きながら悩ましく足を組みかえるみっちゃん。もちろん客席は大うけである。

そして早口言葉。はっぴに鉢巻のパフォーマンス隊が、一糸乱れずに例の踊りを踊り狂う。東村山音頭・・・。盆回り。そしてついに今日のハイライトひげダンス。この日のために練習してきた佐藤山下両君の演技が始まった。わざと?はずしたりしてお約束どおりにはらはらさせながら、最後は見事にサーベルに夏みかんを突き刺した。(実はかなり難しい!二人ともアッパレである)おまけの器械体操とおなじみのポーズで、最高潮に盛り上がる客席!すごい勢いの手拍子で曲が聞こえないほどである。これはうれしい計算外であった。

そしてエンディングのビバノン。ここでもパフォーマンス隊が躍り狂い、大団円の楽しいフィナーレとなった。 お客さん手拍子ししてくれるかなー、なんて悩んでいたのがウソのよう。手拍子が激しすぎて困るくらいである。 うーん、狙い以上、想像以上の大うけである。総合演出川田氏、パフォーマンス隊、佐藤やました両君、照明志賀君、本当にありがとう! 楽しい!!満員のお客さんの笑顔がうれしい!!この曲やってよかった!

一旦退場し、大河。 龍馬。こういう早くて内声がうねうね細かい動きをしている曲はこのホールは響きすぎてとても合わせずらい・・・。テンポも戸惑い気味か。しかし最後はかっこよく駆け抜けた。 篤姫。この日一番きれいに鳴ったろう。もうなんともいえない。幸せと感動でちびりそうである。 新撰組。心配していたテンポも安定。思い切り振れた。オケも燃え上がっているよう。最後の隠しだまは合唱。これはカッコいい!鳥肌物である。 なんか特定の人の声がすごく良く聞こえるが・・・もちろんOKだ。

2部も期待をはるかに超えた大成功!! 舞台裏に戻り、スポーツドリンクをがぶ飲みして、休憩。 ついに最後の大曲、新世界に挑む。団員と最後まであきらめずに駆け抜けることを誓いつつステージへ。 (後編へ)