2010年8月23日

ゲネ&最後の練習

8/21。さあ、ゲネである。この日はパーカスさんから司会のYASUKOさんまで参加の総通し。
杉並に集合、楽器の準備(皆さん積極的にセッティングしてくれてありがとう!)、朝からあわただしい。この日は準備と打ち合わせで午前中のオケ練習もどこか上の空、すべてに余裕が無く、ほとんどぶっつけで通しとなる。

  
1.2.3部、基本的に音色と響きは美しかったが、久々の杉並で、天井が高く合わせにくく、特に速い曲で空回りしてしまう。人もかなり増えたので、リズムのキレと音程が厳しい。パーカスさんも約1ヶ月ぶりのうえ、指揮者もアインザッツを出す余裕が無く、かなり合わせにくそう。おまけに大事な4楽章のテンポ設定を誤り遅くなってしまい、勢いを失って僕は体力をかなり消耗した・・・。
と、合宿の順調振りから比べると、全体に厳しい出来であった・・・!いろいろ理由を並べてもやはり最後は指揮者の責任である。みんなごめんよ!


しかしもちろん本番前なのでそんなことはおくびにも出さない。あの名将・東郷司令長官は日本海海戦直前に主力戦艦2隻を機雷で失ったが、号泣する部下達の前で無表情に「ずいぶん沈みましたね」と言って周囲を唖然とさせ、かえって士気を高めた。ここはそれにならって「ずいぶんズレましたね」と他人事のように言っておいた。


毎回上手くいくのなら最初からこんなに練習する必要も無いはず。ポジティブに考えて、とにかくゲネは終了、決起会になだれ込んだ。
この日の決起会では、古株団員のテーブルでいろいろと談義に花を咲かせた。来し方行く末、子育て談義・・・昔からの仲間との話は楽しかった。そしてこの日はどうしたことか、そのあと数人の若手(無論全員男だ)と喫茶店で閉店まで恋愛談義。いいなあ荻窪の夜。
その夜は楽しかったが、帰ると自分のふがいなさが悔しくてあけがたまで眠れなかった。気付くと新世界が頭の中でエンドレスで回っている。この必死な感覚、何年ぶりだろう。


朝、ゲネの録音が早くもMLにアップされてきた。恐る恐る聴いてみると・・・意外に良かった。最近天井の低いところでの練習が多かったので、録音も縦はあっていても音が雑でムラがあったのだが、杉並は合わせにくいけれども、その響きで見事に演奏の粗がカバーされていた。そんなものなのである。


家内も一緒に聞いていたのだが、プロの音楽家である彼女は激賞してくれた。ただし遅い4楽章に関しては「勢いが大事。音程やズレが気になって音楽が死ぬのは本末転倒」とアドバイスしてくれた。


そうなのだ。我々は楽器を置けば第一線の社会人・家庭人またはその予備軍である。いやらしい話、史上最多107人(!!)というこれだけの人間のこれだけの日数・時間・労力を拘束すると、仮にお金にすればとてつもない金額がかかるのだ。それが入場無料のコンサートをする。
この不可解な集団を説明するには、ただ「好きという情熱」・「勢い」という言葉しかないであろう。


最後に言いたいこと・・・何よりも「勢い」を大切にしたい。それがバッカスという情熱の集合体の、動機であり燃料なのだから。

8/22の最後の練習はそんな気持ちで臨んだ。特に言わずともみなそういう気分になってくれたのか最後の練習にふさわしいベストな演奏となった。


練習の最後、自然発生的に沸き起こった拍手。数人は涙ぐんでいた気がする。僕たちはうなずき交わしながら、本番当日での再会を約したのであった・・・。