バッカスマンドリーノの指揮者たちが日々の雑感などを徒然なるままに書き綴ります。マンドオケを中心とする音楽への飽くなき探求から、マニアックな趣味、果ては社会問題・現代世相まで何でもアリです。
2013年12月19日
真冬の本番レビュー~おそくなってごめんね~
さりなばちた!
半年以上の放置。もう泣きながらdogezaしかありません。
6月に一度練習にお邪魔したんだが楽しかったです。
そして8月本番。深夜に書くラブレター並みの思い入れたっぷりのレビューを1曲ごとに大量に書いていたんだが、手違いで削除!その後、現世のしがらみ・俗世のわずらわしさにまぎれ、気がつけば今年も終わり。
8月の本番はバッカス創立以来初めて客席で聴いたのだが、想像していたより洗練された大人のイイ演奏になっていた!自分の勢いと音量重視の大雑把な音楽よりも、小川君の作り出す世界はもっと端正でクレーバーに、響きを大事にしているように感じた。 今となっては細かいことは全部紛失したが、4ヶ月たっても残っている印象を以下。 (かえってこのほうが冷静に演奏の本質を捉えているかもしれない)
アルヴァマー序曲 J.バーンズ 小川琢也編曲 演奏会の最初の音がとにかく良かった。バランスもよいし、縦の軸も端正に、横の軸も伸びやかに歌えていて、体が自然に動いている。奏者が楽しんでいるのがわかった。超優良演奏。編曲物の大成功例。とにかくエエ!!この演奏会の成功を確信した。
マンドリン・オーケストラのための妖精組曲 二楽章・三楽章 二橋潤一 ご存知メカニックも表現もアンサンブルも最高難度の曲。6月に聴いたときは正直、これはきついな・・・と思ったのを覚えているが、この日の演奏は違った。この曲はともすれば縦の線を合わせようと細部にこだわりすぎて、肝心の音楽が死んでしまう演奏をたまに聴くが、きょうは全然怖がっていない攻めの演奏で、メリハリの着いた豪快な演奏になっていた。細かい音符が駆け上がったりするところで少しずれるが、誰も気にしちゃいない。聴衆も気にしちゃいない。大きな輪廻の単位であっていればそれでいい。なかなか出来そうでできない、思い切った気分のいい演奏。
企画ステージ 「ドキッ!ガールズグループだらけの真夏の大メドレー!」 桝川大輔編曲 演奏よりも、自分の責任だけに編曲の配分や演出の配分にちょっと反省したり、うまく行ったとほくそえみながら聞いた。おなじみYASUKOさん(衣装を替えて出てくるとウケていましたね)の団員へのインタビュー。TさんAさん、なんか緊張してかみかみだが雰囲気は変わったのでOKだ。 演奏は少し硬いが軽やかに始まった。暑中が配分上長いかな・・・渚は少し走り気味であったが楽しい。「セクシー」は突然ピンク色の照明で全員がのけぞるのであるが、聴衆はポカン状態。自分的には面白いのだが唐突過ぎたか? あみんも「待つわ・・・」のストップモーションわかったかな?わかる人だけわかればいいか。セーラー服。このあたりでやっと聴衆もついてきた感じだ。よっちい氏の「あげない!」で客席にどっと爆笑が。せりふは「たべて!」でもよかったかもしれない。「サマーナイト」はなかなかかっこよかった。もう少し低音が出ると原曲の雰囲気に迫れたか。「カチューシャ」速い!でもこれくらいがかっこいい。奏者もノリノリだしなにより客席が乗ってきている。「怪盗少女」狙い通りブラッシングやミュート・カッティング、タッピングを駆使してはじけた演奏になった。妙にそろった「狙い撃ち」のポーズや、全員1拍前でひざを曲げてのストンプもばっちり決まる。説明一切なしなのでお客さんは何が起こっているかわからない状態だったろうが、たとえば滝の流に一瞬目を凝らすように、圧倒的な速度とノイズのカオスの中に目を凝らすと、かなり面白いことが起こっているのはわかってもらえたはずである。個人的には、アレンジをもっとシンプルにしてメロディが聞こえたらなあという後悔があった。殊勲は管楽器と打楽器。ボブさんあいかわらずノリノリです。
【第2部】 序曲第4番ロ短調 K.ヴェルキ ヴェルキはもう鉄板である。安心して聴けるし、引き込まれる。アルバマーでもそうだが、ギターの音色がきれい。パートバランスのよさが光った。スカッと爽快感のある演奏。
亡き王女のためのパヴァーヌ M.ラヴェル小川琢也編曲 2部はまったり系か。1部がジェットコースターだったのでそれもいいか。周りの曲がインパクトがありすぎるのでちょっと印象が弱いが、こういう曲があっていい。
交響詩《わが祖国》より「モルダウ」 小川琢也編曲 6月に聴いたときは、編曲が上がったのがまだ半分くらいだったろうか。結構ギリギリまで編曲がかかったきく。もちろんこれは今回4曲も担当した小川君に負担がかかりすぎたためであり、編曲の量と速度そのものは驚異的なのである。音楽には旬がある。音をとり・緩急自在に弾きこなし・曲想を練り・細部まで磨き、最高に熟練したときに本番を迎えるのが理想であるが、そこを過ぎると熟柿のようにだんだんぐずぐずになり、ついにはしぼむ。モルダウに関しては譜面が上がったのはギリギリだったのだからそこはそこ、細部まで磨き上げるというわけにいかないだろうし、プラモデルにたとえれば、立派に組みあがったがバリがまだ着いているといった状態だろうか? だがそういう逆境にもめげず、小川君が白棒で描くモルダウは明確な理想を持ったものであり、団員もその心意気にこたえた形となり、そういう舞台裏の諸事情を感じさせないまでにきわめて純度の高い(テンポやアゴーギグにMOにありがちな手加減をしていない)なんらハンデを感じさせない演奏であった。冒頭TUTTIの響きの美しさと伸びが印象的であったし、激流の部分、トリらしく怒涛のような全員の執念を感じた・・・。
アンコール、快速アルヴァマー(だっけ?)もうテーマ曲で毎回やってもいいんじゃないかと思うほどハマッていた。
川メドレー、よく考えると日本は川にまつわる曲って歌曲でも演歌でもPOPSでもいくらでもあるんだが、クラシックや海外のPOPSには意外に無いんだな・・・と思いいたった。川の流れに人生を見るのは日本人特有のメンタリティなんだろうか?
・・・聴き終わって。・・・
バッカスは今「いい位置」につけているな・・・と感じた。安定した良質の演奏を誠心誠意聞かせてくれる大人の団体。ちょっと砕けた部分やある程度の茶目っ気をも持ち合わせている。 新生バッカスのカロリー・糖分抑え目でシェイプアップしたヘルシーな姿が頼もしかった。
再び自分の話になるが・・・今は両親の様子を見るために実家に毎月帰ったりその他家庭の事情もあって、当分は遠くから皆さんを思っては涙や汗を絞る「汁団友」として応援させていただくことになりそうである。
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