2007年9月5日

神保町賛歌

会社が移転するので15年間も慣れ親しんだ神保町を離れることになった。移転先は護国寺なので、そんなに遠くなってしまうわけではないが、この街を去るのは本当にさびしい。もう、路地裏のシミ、街路樹の一本一本まで知り尽くした街なのだ。社会人としてのスタートを切って以来、人生の酸いも甘いも味あわせてくれた思い出の街である。

本当にこれ以上好きな街はない。どこがいいのか、思いつく限りあげてみよう。
日本一、古本屋・中古レコード屋が多い街。量、質、種類ともにこれ以上は無いであろう。古本・古レコードほど僕を楽しませるものは無い。ほぼすべての古本屋を知っている。中でも斉藤秀雄や小沢征爾が通った戦前からの音楽家の聖地、古賀書店。僕はここで何百時間すごしたかわからない。何十冊も楽譜を買った。高くて手が出ないときは、立ち読みで必死に覚えて8小節ぐらいづつ店の外でメモり、それを繰り返すというあほなことをやった。

日本一楽器屋が多い街(御茶ノ水よりだが)、登山用品店が多い街。これも僕の趣味にとってはうれしいことこの上ない。
日本一喫茶店が多い街。GETした古本を喫茶店で読む快楽は何者にも替えがたい。
それ以外にも日本一カレー屋が多く、怪しい質屋が多く、怪しい大人の絵本屋さん、ビデオ屋が多い。サブカルチャーの本場だ。

そして、何よりも出版社や大学が多く、町全体に漂う文学臭と言うか、左翼インテリっぽい空気、一年中文化祭前夜のような、青臭い活気がたまらなく好きだった。

自分の嗜好が神保町にあっていたのか、神保町が自分をこうしてしまったのか・・・。
ありがとう神保町。そして僕はいつかまた、必ず神保町に帰ってくるであろう!