2012年8月20日

本番レポート(前編)倭になって踊ろう!!



本番当日。
早めに家を出て早めにかつしか到着。みんな明るい表情で挨拶を交わし、セッティングにうつる。今日はすごくうまく行きそうな気がする。っていうかうまくいかない理由が無い。

今年はオケピをつぶさないのか・・・。ゲストや特殊な出し物も特に無いし。思えばこの2年、20回記念(クリスマスケーキ)、20周年(おせち料理)ときて今回は久々の素のバッカス(普通のご飯)である。正念場は今年といえる。団の力が試されるのはこういうときなのだ。

無事にセッティングも済み、AMはペールから練習。もう葛飾も長いので、やっとホールの特性をつかめた。基本的にいいホールなので音はいつもの5割増しにきれいに聞こえるし、この7月からしつこく耳で合わせるなということを言ってきたので、全員指揮を見て、オケの前と後ろのズレも少ない。
小川君も僕もあせりは無かった。

そして僕の杜の練習。あまりに余韻がきれいなので、いままで情感たっぷりに歌わせようとテンポやアゴーギグをさんざんいじってきたのであるが、あえて歌わないでのびのび平均的に演奏させると、すごく良かった!!

今までの半年間はなんだったのだろう・・・でもこんなものだ。この道のりは無駄ではない。最初から何もしない「無」と、苦心惨憺試行錯誤した果ての「無為」はちがう。

そして昼食後、PMの練習。
火の山、小川君、直前まで鋭く細かい指示を与え続ける。
この曲もおおとりにふさわしい風格を備えるようになった。


この間、たわいない話であるが、2歳の息子が客席にあそびに来てくれたので、僕は世の全てのおろかな父親と同じく、でれでれで抱き上げたり遊んだりしてしまった。

気を取り直してシンフォニー・ジャニーズ

シンフォニーは、オケも賛助さんももう完璧。少しバランスを直しただけ。むしろ練習したせいで酸素に触れ少し酸化してしまった。しなくても良かったかもしれない(そんなわけには行かないが)

ジャニーズは、やはりテンポ設定の確認に神経を使う。やはり少し粘っているか?でもこのホールではこれでいい。
ゆとろぎや合宿での快速テンポはなんだったのかということにもなるが。

そもそも練習で毎回型にはまったように同じ音楽を作り、本番も必ず練習と同じものを乗せるのがいいのか・・・?僕はそう思っていない。

音楽は、環境やその日の気分でつねに変化していく。

練習とは同じことの蓄積ではなく、音楽の変化についていけるようになるための訓練なのだ。本番で一瞬で練習と違うことが出来るのが真の実力あるオケである。だから「桝川さんは毎回テンポが違う」とか「本番で違うことをやる」といってる人たちよ。そういうことなの。


さて、全ての練習を終え、夕食をとり、本番までのひと時をすごす。冗談を言いながら、期待と不安で胸の高まるひと時。出演者たちの特権である。

そして、あっという間に開演ベル。僕は今年は1部担当。会場を暖めるという大役。


紹介されて舞台に出て行く。見渡すと・・・おおおおお!1.2階席ともにほぼ満席(に見える)

ご存知だろうが、この日同時間帯に比較にならないほど強力すぎる裏番組があったのだ。全日本マンドリン合奏コンクール・・・。名だたる作曲者指導者が審査員に名を連ね、実力派の団体があまた出演する斯界最注目のイベント。業界人は根こそぎそちらに行くはずであり、行くべきであり、今日で無ければ僕自身そちらに行っていたろう。聴衆は去年の3.4割減、いや半減だという予想まであった。
(日程はこちらのほうが先に決まっていたのである)

しかし客席は2年連続のアニバーサリーには及ばずとも、それ以前に劣らぬ入りであった。後でわかったことだが業界人や学生の方も来ていただいた。はしご組みもいたらしい。

これは分析すると

*こちらに来てくれる義理堅い業界人がいた。

*そもそも合奏コンクールにでるようなひとたちはバッカスに来ていなかった。

*マリオネット招聘などの企画が功を奏し業界人以外の固定客が増えていた。

ということになろうが、深く詮索するのはやめにしよう。いずれにしろ、この客席を見たときのオケと僕の喜びと感謝はいかばかりなものか・・・。

客席の年齢層はややいつもより若く、女性が多い様に思えた。こちらを見ている目が柔らかく、受け入れられている雰囲気を感じた。これはいける!

一曲目:シンフォニー
最初のppから、marcatoまで、ものすごい集中力。気迫。ホルン・ファゴットがいい場所でいい音を聞かせてくれる。パーカスもピタリ。0.1mmの狂いも無い。それでいてこの情熱。マンドリンの高音も天使の歌声のよう。とにかくパーフェクト。終わった後もあまりにうまく行き過ぎて目の前で起こったことを信じかねた。すごい演奏。この20年で最高かも・・・。

2曲目:杜
まさに大自然・・・。マンドリンのソロから流れ出す源流、マンドラがひたすらメロディを紡いでいく。僕はほとんど振らずに海馬の記憶の中の欅を見つめていた。そしてサビ、巨樹がうねり、緑の嵐が吹き上がる!!
去年タクトミスを連発した僕であったが、これも信じられないほどの演奏。
お客さんの拍手が暖かい。いい温度だ。いったん引っ込んで、次は企画の前にYASUKOさんとトーク。


今年はせりふは決めずに、ジャニーズに関してだらだらとトークする事にした。ウケようとしたり、いいことを言おうとしなくても良いことがだんだん判ってきたからだ。ぼくも家内との小さなコンサートでは普通にしゃべっているし、去年マリオネットさんのステージでの自然体のトークも、心地よかった。要するにお客さんの気分転換になればよい。

最初、YASUKOさんの好きなグループの話をしたり、僕がひろみゴーの話をしたり、客席とオケに好きなグループに手を上げてもらい世代分布を見たり、オケが打ち合わせと違ってぜんぜん手を上げないので「リハのときみたいに手を上げてよ」と突っ込んだり。
とりとめが無かったが、それなりに気分転換していただいたことだろう。

さて1楽章
嵐が始まると客席の「おっ?!」という反応がわかる。次にどんな曲が来るか期待する視線を背中に感じる。もうこちらのペースだ。
仮面舞踏会、いいなあ、一瞬16歳の頃にフラッシュバックした。パラ銀。さわやかなスケート少年たちの曲をいま42歳の親父が腰を振って表現している。お嫁サンバ、客席がかなり暖まっているのがわかる。ギンギラギン。うちわパフォーマンスのあたりから自然に手拍子が。ありがたい。

2楽章
ほとんどギターが演奏する涙君。ゆっくりとしみじみ演奏した。3楽章へ向けたインターバルも兼ねているので、力がぬけてやさしい音に。オーボエが美しい。アンケートでは、想像以上に好評だった。


3楽章
懸念だったオハロックのテンポ、少しもたついたか。でも全体の中で見れば問題なし。硝子の少年、もう少しかっこよく載れたかな?でもよし。KATTUN、テンポ・乗りともによし。僕の「ピートタウンゼント振り」に団員が演奏中なのに笑いこけている。ライオンハート。これもアンケートで好評だった曲。聴衆はやはり癒しを求めているのだろうか?そして最後のWA。2.D.Cの渾身のユニゾンがホールの天井をかっとんで行く。ノリノリのサンバのリズムが始まるや、あとは祭りだ。クラップ部分、僕は指揮台を降りて2NDのメンバーにちょっかいを出しつつ、パーカスブースへ。AGOGOを借りてボブさんのBongoと一瞬セッション。この瞬間が最高に楽しかった。そしてそのまま踊ろう隊と合流してフィナーレ。オケを約一周した。

楽しい!今の気分はサマージャンボ前後賞当たったとしても味わえないものだし、この喜びを得られたことはは綾瀬はるかと石原さとみが添い寝してくれる権利も放棄しても悔いないほどのものだ。


そして誰よりも、吉水先生、このメドレー本当に最高です!!
感謝の念を抱きつつ、退場し、2部に備えることにした

(後編へつづく)