2009年10月30日

新しき世界へ

 本番以後、本業やらイベントで手一杯でご無沙汰しておりました。またしても2ヶ月更新せず・・・。ごめんなさい。でも次シーズンは20回記念でスタートも2ヶ月以上早く、始動開始である。

本番終了後はやや虚脱状態であったが、9月末の家内との地方コンサートに向けて選曲と練習開始。今年は、熊蜂やナポリなど、結構きつい曲。おたのしみはみんな大好き、リロイ・アンダーソン特集で、ベルやらラッパやらゴムホーンなどのオチ楽器を駆使。タイプライターの「チン」が受けてた。もちろんギターで演奏しながらチンをするのは大変で、特殊な装置と練習が必要であった。

今年は続けて2箇所でコンサートしたが入りも上々、お客さんの反応も暖かい。去年しゃべりすぎたので今年はトークは軽めに。最近やっと人前でもまともにしゃべれるようになった。客席と心をひとつに出来た喜びを胸にささやかなコンサートツアーを終了。

10月にはいると本業が忙しくなり・・・。友人のコンサートにもなかなかいけず不義理を重ねてしまった。プライベートでも結構大きな事件があり、毎日が夢のように過ぎていく。

次回のトリはいわずと知れた「新世界」全曲。記念すべき20回に、これ以上ないほどの曲である。選曲カードにそれこそ10年以上上がってきたが「20回までとっておく」を合言葉に見送られてきた曲。
逆に言うとバッカスがもしも20回まで続いたら・・・まあ、夢のような話だけどそのときは・・・という曲であったからして、この曲が決定した時点で、我々はすでに勝利者であるといえる。

それにしても大好きなドヴォルザーク。学生の頃、一時期目覚ましにスラブ舞曲1番を使っていたっけ。ニッケル・錫の国チェコの作曲家らしく、金管の響きがすばらしい。弦楽セレナーデも繊細可憐で、一度聴いたら忘れられないメロディの宝庫。

ドヴォルザークへの愛は今後語るとして。それから最近決まった1部の曲、2部のメドレー傑作選は今年中にたっぷり紹介するとして。

ところでこのまえふとしたきっかけで映画「楢山節考」のDVDを借りて観てみた。いやあ、この映画・・・。濃い。濃すぎである。ある貧しい農村の陰惨な風習と生活・風俗を丹念に描いた、日本人の原体験的な重~い物語なのであるが、とにかく最初から最後まで衝撃の連続で鳥肌が立ちっぱなしである。これが我々の歩んできた厳かでどこか滑稽な生命の輪廻なのである。

緒方拳も坂本スミ子もすごいが、なかでも左とん平がじつにいい味を出してる!まあ、このブログは映画の感想を書くところではないのだが、いいたいことは、最近のうそだらけのきれいごとで何も起こらず何も訴えてこないあの映画やこの映画になれきっていた自分がいきなり殴りつけられたような気がしたのであった。

音楽だってそうである。僕は非常に仲間と機会・環境に恵まれて、やりたいことをやらせてもらい、やりつくしたあまり、いま、無欲・ことなかれ主義になっている気がする。

何かわけのわからない衝動に突き動かされ、汗を流して、体を張って訴えたいものがないなら、指揮者なんてやめたほうがいい。奏者もしかり。

新世界は久しぶりに「マンオケで出来るわけない」「どうせ擬似音楽~ギミックだろう」という逆境に僕を追い込んでくれそうである。

あと一年で何が出来るか・・・表現ということについてもっと考えてみたい。