本番から1か月たってしまいましたが、
遅ればせながらレヴューなど。
今回は聴衆ではなく、
1曲だけ指揮者として5年ぶりに復帰することになったのです。
ただ、かなり練習出席数も限られるので、
ここは企画専門のピンチヒッターとしての登場です。
つまり老舗団体にいがちな変なオヤジ指揮者として聴衆をクスッと
させて「なんかおもしろかったな、アレ」
と心に爪痕を残せれば本望、と開きなおっての参加です。
で、曲目についてですが、
プログラム全曲聞いたのが久喜でのゲネプロなのですが、
若手指揮者たちの堂に入った指揮ぶりにも、
小川君のプレリュードとカルメンのバトン技巧とアナリーゼにもび
っくり。4曲、魅き込まれます。釘付けです。
今までもほぼそうなんだが、
これは全曲穴なしの完璧プログラムです。
それで僕の振るこの学園ヒット★パラダイスも、選曲・アレンジ・
構成ともに大傑作ですから、俄然、
コンサート自体すごくうまくいく・・・と確信しました。
僕の脳裏にはすでに聴衆の笑顔と喝さいが見えるようです。
というわけで9/2の朝が来ました。
涼しい。ってか雨がしとしと降って寒い。
まちがいなく夏が終わろうとしている・・・でも、
まだ夏を終わらせない!
というのが今日のひそかな自分だけのテーマです。
心の太陽フレアを大爆発させてきょうはたっぷり汗をかきましょう
。
9:30にGUITARの楽屋に入り、
今日の仕込みについていろいろと悪友たちと相談。
大村君がなぜか長髪のかつらを・・・。
これはもちろん企画とアンコールに関係があります。
午前練習は小川君のカルメンの最後の詰めが真剣に続きます。
自分が振った時よりも、
すごく輪郭のはっきりした音楽になりました。
前回は勢いで乗り切ったところをしっかり丹念に整理していきます
。これだな自分に足りないものは・・・
と思わせてくれる練習風景。
昼食を挟んで午後練習。若手二人も、
しっかり自分を持った端正な音楽で、
本番に対する不安はありません。みんな優秀です。
こうなれば自分の立位置もはっきりするというもの。
色物として思い切りふざけてお客さんを温めましょう。
リハではやはり冒頭のコントを中心にやります。今回はTOP陣、
いや全員に参加してもらうので、時間をかけ、
何度もNGが出てはやり直します。
(おいおい、こんなに作りこんで、
もしシーンとしてたらどうすんだよ)と心の突込みが入りますが、
もうやるしかない。
筋としては、学園ドラマの第一回に必ずある「
手ごわい生徒と熱血先生の対決」的な導入。
熱血先生が生徒たちの煙草・化粧・酒・マンガ・スマホ・早弁・
居眠りとお約束のネタにいちいち反応し、ビンタしたり、
過剰なスキンシップをするというコント。セリフは一切なく、
僕のホイッスルのみ、落ちはカウベル一発。
司会のyasukoさんともアナ原についてぎりぎりまでうちあわ
せます。
ビンタは入れる予定がなかったのですが、
数日前に日野皓正の事件があり便乗。アンコールの練習もし、
ここで新たなるネタが仕込まれたあと、
早めの夕食であとは本番を待つばかり。
さてリハ風景長すぎましたがここからは開演後。
2階席を閉めているので、客席はほぼ満員(に見える)。
ほっとします。
まず、ニッキ君の軽騎兵。
袖で聞いているので音響は分からないが、音がとても伸びている。
やっぱり一曲目はこういう豪快なfで始まる方がよい。
ギターの刻みがやっぱり厳しいか。
時間があれば某関西系団体のようにここは単音にDIVした方がよ
かったかも。でも全体にかっちりして明瞭で気分良し。
モチーフごとに音色とキャラをもっと変えてもよかったろう。
でも最後のフィナーレ感は最高。
アッチェルもラストのタメも決まった。
つぎは修司君(寺山だから)の星の庭。
これは1曲目と全く違い繊細なトレモロで聞かせる曲。
細かい瞬きのような表現はもちろんだけれども大きなうねりも感じ
られ引き込まれる。
そして例の主題だけど・・・スマート。
僕の年代だとここは思い切り粘るんだけれど。すいすい行きます。
これが若いってことなのか。
脂のないシンプルな味だがもちろんこれはこれですごくいいです。
昔やった時は中間部が長くて退屈だな、
なんて失礼なことを思ったのですが、
この演奏は中間部の不協和音も目的意識があってぎゅっと詰まって
短く感じる。
2人とも若手とは思えない技巧と頼もしさ、
末恐ろしさすら感じます。
さて、僕の番です。yasukoさんが「バッカス学園、
朝のホームルームです」って感じで紹介。
始業ベルとともに学級崩壊したオケの前に上下ジャージで出ていき
ます。
?・・・僕が振ってた頃とお客さんが半分くらい入れ替わってる。
現役時代毎回感じていた「あ、出てきた、なんかやるな」
という空気がない。そうか、5年もたてば客席の構成も変わる。
あるいは久しぶりなので客席が戸惑っている。
これは半分アウェイです。「厳しいな、でも最後には沸かせるぞ」
と一瞬にして決意しました。
そして前述のコント。ざわざわって感じですが、
ネタごとに次第にウケてきました。
ビンタのスネアとか最後のカウベル一発ではなかなかの反応でした
。やっぱりシャボン玉ホリデー、
サタデーナイトショーの昔からカウベルって笑いが取れるのです。
何を聞かれてもティンパのペダリングで答えていたダン池田を思い
出します(古いね)
爆笑とまでいかずともこれで十分笑いはとれました。
さて、演奏。
ごくせんも太陽もリハより落ち着いて丁寧にできました。
いい空気。
フライングゲットあたりから無性に盛り上がってきました。
直前で僕好みのサンバアレンジになったので、
椎間板が溶けたかのように腰が動きます。そう、
まずオケを笑わせないと客席を笑わすことはできません。
空も飛べるはずは一転爽やかに奏者とシンクロでき、
客席の気持ちが寄り添っているのを背中に感じます。キセキ、
アミーゴ、そしてHEROは全員火の玉のように駆け抜け、
GUTSは軽く明るく。そして贈る言葉。
イントロに入る一瞬がかなり感動的でした。ラストの学園天国は、
掛け声もとどろき(オス声多いな!)
全員シモンボリバルユースオーケストラのように楽器を立てて乗り
まくりました。聴衆の心はしっかりオケと同期しました。
最高だ・・・。かなり自分の趣味が炸裂していますが、
コントも含め、みんなの心に爪痕は残せたでしょう。
結果オーライ。
1部終了。休む間もなく小川君指揮の2部開演。
これまたすべて袖で鑑賞。
プレ2、
超定番曲だけに何度この曲を聴いたか演奏したかわからないほどで
すが、この日のプレ2には冒頭のfからしてやられました!
もちろん単に奇をてらっているのではなく、
さんざん聴きこんだ人も掘り当てられなかった新鉱脈のような目か
らうろこの解釈なのです。
この演奏は新たなスタンダードになるでしょう。
そしてカルメン。
一応前回のわが拙い編曲「M'selection」
をべースにしてはいるものの、
大部分を小川くんがきれいにしてくれています。
1曲目。僕の時は速すぎて結構危なっかしかったが、
今日のは快速でありながら、腰の据わった安心して聴けるテンポ。
華やかな管の響きと、締まったパーカスが豪華。
そして闘牛士の歌の部分では、
弦のユニゾンでのあのメロディがたっぷり歌っていて大満足。
以下、全部書いていると終わらないので特に心に残った楽章だけ・
・・
アルカラ。
十数年以上前なので編曲の工夫などは忘れて他人ごとのように聴い
ていたのだが、アルカラはハッとしました。
途中のギターの長い長い下降音型、
当時われながらしてやったりと思いながら自分で弾いてにやにやし
ていました。
Intermezzo。冒頭のE♭、
前回ギターの下パートのDチューで何とかしたのだが、
今回はDチューやめたので、セロのE♭
と音質の差が出てしまった・・・。
もとの曲はハープとフルートでもっと自由にやるところなのだが、
そういうこともあってメロディー以外の構造体が少しぎこちなくな
ってしまったか。でも吉谷さんのソロは極上でした。
ハバネラ。これはあまりエロくない・・・。
なぜ当時カルメンのような若い女が葉巻工場に勤めたかっていうと
、
葉巻ってものはセニョリータたちの褐色の太ももの上で巻かれるら
しくて、
紳士たちはそういうことも含めて先ず吸う前に香りを楽しむんだと
か。(と開高健の本に書いてあった)
ラテンの連中のエロは実に深い。日本人も頑張りましょう。
闘牛士の歌。これは前回よりも全然弾けていて、
華々しい一体感もあり、
客観的にも一番出来がよかったのではないでしょうか。
小川君がいろいろ手を加えてくれていますが、
それもあってかかつて自分が面白がりながら編曲した部分が期待以
上に豪快に聞こえて、バッカスの底力を感じます。
みんなこの手の速弾き、わりに大好きなんですよね。
ジプシーの踊り。
これは僕が振った前回は2コーラス目くらいからテンポアップして
しまったんですが、今回は小川君によりテンポを抑えに抑えて、
最後に炸裂するという大人のジプシーになりました。
ためにためた分フィナーレの風圧は猛烈で、爽快感この上なし。
ブラボーも出ましたね。
前回よりセンスが2枚も3枚も上のカルメンでした。
僕も袖から盛大に拍手を送りました。
なにがあろうと本番にベストの力を出し奇跡の演奏をしてしまう皆
さんに。
そしてオケと一つになって盛り上がってくれた聴衆の皆さんに。
小川君の感謝の言葉の後、アンコールは海の声。
パーカッション隊の波の音から始まります。
これ以上夏らしい曲はないし、個人的にも好きな曲です。
演奏も感極まって極上のアンコール。
アンコール2は学園ヒットのGUTSから。
ここからGUTSの小川君、贈る言葉の大村君、学園天国の僕と、
それぞれのアレンジャーが振るという趣向。
学園ヒットは3人の合作とは思えないほど一体感のある構成でした
が、いみじくも、3人の個性が一番よく出た曲でフィニッシュ。
小川君、GUTSが盛り上がってくると、
バットを振っていました。某先生が見たらなんていうだろう。
贈る言葉の大村君、
本番前楽屋で用意していた長髪かつらとグレーのジャケットで、
髪をかき上げながら指揮。
くやしいが客席がこの時一番ウケたかもしれない。
学園天国、僕はパーカッションブースからyasukoさんの「
are you ready?」の掛け声とともに舞台に飛び出したのだが、
このときの目の前に広がった光景を一生忘れることはできないでし
ょう。
客席の全員がひとりのこらず笑顔で手拍子をしていた!
・・・・・・・・・・
打ち上げの席では、案の定、
松村雄基だの山下達郎だの闘牛士だの星だの軽騎兵?だの、
珍妙な連中が跋扈していた。僕はかなり気分良く酔って、
指名されて立って長々としゃべった気がする。
そして日帰り参加であるにもかかわらず終電を逃してしまい、
みんな泊まっていけばと言ってくれたが、
なぜかそうしたくなくひとり帰ることにし、2:30頃、
春日駅前の24時間マックで机に突っ伏した。
数時間後には、子供とこの夏最後の営業日であるプール。
泳いでいると上空からアブラゼミが目の前の水に落ちてきて、
もう動かない・・・今、夏が終わった・・・27回目の。
でもこれは終わりじゃない。次回は28回目。そして29・
30回に向かって今また夏が始まろうとしている!
そう、Are You Ready!?・・・30回!!
こちらの記事は、企画ステージ指揮者の桝川大輔氏より寄稿頂きました。
育メンしながらの参加、
ありがとうございました!